「あ、の……学校、行かないと」

 おずおず言ってみると、二人ははっとした表情を浮かべた。

「そうだ、遅刻するがや」

「まだやめないのねそれ」

 忍び笑いをする鳥居さんの後頭部をまた、康太が叩く。

「仲良しなんだね」

 ずるいよ。現実でも、夢でも、康太のそばにいるだなんて。

「腐れ縁よ」

 なんて、鼻を顰めて言うけれど、さ。鳥井さん、康太を見る目がすごく温かいよ?

 康太は気づいているのかな。気づいていないのかな。

 胸が痛い。叫んで、がむしゃらに走りたくてたまらない。

 康太が隣を歩く、その隣に並ぶ鳥井さんの存在が――とても、邪魔に思える。

 いけない。そんなこと、考えては駄目なのに。思い切り突き飛ばしてしまいたいよ。

 なんで、こっちにまで出てくるの。

 いや、こっちが現実なんだから、あっち、夢の中の方から鳥井さんを追い出せば――どうなるのかな。

 あっちでは、康太と鳥井さんが付き合っているんだ。しかもリアルな、夢。

 そんななのに、もしもそこで、鳥井さんがいなくなったら康太は……どうするのだろうか。

 僕は、どうするのだろうか。



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