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 好きだと言った、それだけなのに何故こうなってしまったのか。

 毎日学校へ行くたびに、隣の席をぼんやりと眺めながら、苦痛を喉へと噛み砕く。

 いつも見ていた。石井の横顔を。

 誰とでも親しげに話す割には、どこか、他人を拒絶しているような壁を感じた。

 気になって。

 授業中、黒板へ向けられている視線がこちらに寄せられないかと願ってしまって。

 だから彼を屋上へ呼び出した。告白をした。

 同性からのそれなんて気持ち悪いと思われるかもしれない、そんな考えすら吹っ飛ぶくらいに好きだった。

 勇気を振り絞ったのに、返ってきた言葉は、聞いていなかったというもので。

 泣きながら友人……森川に相談した結果が、これだ。

 いつの間にかその内容が、俺が無視をされたのだという事だけ、クラス中に広がって。

 それならばこっちから無視をしてやろうぜ、と森川がけしかけた。

 彼を恨みたいと思うのだがしかし、相談をした自分がうかつだったのだと考えるとどうしても、文句すら言えなかった。

 そうこうしているうちに、それが当たり前のようになってしまって――止めることもできなかった。

 もしかしたら告白を無かったことにしたくて、それで聞いていない振りをしたのかもしれないと判断をすると、石井に顔が向けられなかった。

 だから……自分も、無視をした。けれど――こんな結果を望んだ訳じゃあない。

 朝、起きるたびに後悔をする。指が痺れたように、硬直をして。

 シーツを握り締めてそこの中へ、嗚咽を隠す。

 しかし、絶対に一番辛かったのは、彼なのだと胸に痛みを刻み込んで。

 また、あの空席を見つめるのだ。

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