****
馬鹿だ。
どいつもこいつも、俺も。
安達といつも一緒にいた。だから彼の隣が自分のものだと疑わなかった。
それなのにいきなり、石井に告白をしたのだとぬかされて。
俺のものなのに、勝手に他の奴へ目を向けていたのかと、苛立った。
好きとかそんなのはどうでもいいじゃあないか。
ただ二人でいつまでも楽しく過ごしていたかった、それだけ。
――気に食わない。そんな理由で、クラス中に噂を広げた。
人望の厚い安達が無視をされたと聞いただけで、皆が俺に賛同をして。
空気のように扱われる石井を見るたびに、髪の影へ嘲笑を隠した。
でもまさか、いなくなるなんて。
屋上から飛び降りるだなんて、思ってもみなかった。
死んだ。
それを聞いた時は、邪魔な奴がいなくなってせいせいしたとため息をついた。
また以前のように戻れるのだとそう期待をした。
しかし――笑顔が。
安達の顔から消えて。
毎日辛そうに、石井の居なくなった机を見つめる。
こんな風にしたかった訳じゃあないのに。
あの日から感じていた苛立ちがまだ、消えない。
- 73 -
*前次#
ページ:
ALICE+