母が亡くなった時
私は、6歳だった
その日は、酷く雨が降っていて雷が鳴っていた

1つ下の妹を妖から守ろうとして致命傷を負ったらしい

学校から帰れば
人が集まっていて、何が起きたのか最初理解できなかった

動けないままでいる妹と嘆いている父と
静かに部屋の隅にいる兄がいた
祖父母は、この部屋にはいなかった


妹が、妖から離れたのは
これも原因なのかもしれない・・・


本当は、自分も父と一緒に母を殺した妖を消してやりたかったけれど
家から出るなと言われ、大人しく雨が降る中、外を見ていた


母は、とても素敵な人だった
何でもそつなくこなせる人だった
人に好かれ、妖に対する力も強い人だった


いつも、妹ばかり構う母に文句を言えなかった
おじいちゃんっ子なのは、そのせいだろうか
拗ねて泣きべそをかいて祖父の元を訪ねれば
泣くなと頭をぐしゃぐしゃと撫でられた

泣いて弱みを見せると
妖に付け込まれるから
泣くなと

だから、母が亡くなった時も
祖父母が亡くなった時も
泣かなかった


母を殺した妖も
友達を傷つけた妖も
人を傷つける妖は、全部祓ってやる

大事なものが護れない自分が嫌だった
悪に負ける自分が嫌だった

せっかく、この目が力があるのだから

だから・・・



『次は、私が勝つんだから』

「なら、次は、あっちの山にしよう」

『わかった』

「雪を使うのはなしだからな、あれはずるい」

『わかってる。でも、雪が勝手に食べちゃうのは仕方がないわ』

「お前のしつけが悪いんだろ?契約すればいいものを」

『だめ!せっかく懐いてくれたんだから!』

「あ、この前のあれは、使えた?」

『・・・雪が食べちゃったからもういないわ』

「は?あんな強いのそうそうにいないだろ」

『・・・・・次捕まえればいいでしょう?
 それに、あれは、私が式にするつもりだったの!的場より先に捕まえたのだから
 どうしようと私の勝手だわ!』

「喰わせるくらいなら、おれが式にした」

『そう、なら私より先に捕まえればよかったのにね』

「・・・・・・チッ」

『あははっ』



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