「・・・・っ!!!」

『!』

妖に追われ森の中を隠れる場所を探して走っていると
丁度よさそうな、岩陰があったのでそこに一度身をひそめることにした
少しして、妖が過ぎて行ったので気を抜くと
後ろに気配を感じた瞬間
首にすっと何かが伸ばされた

「何をっ・・!」

力がこめられ、徐々に首が絞められていく

「・・・・っ!!!」

『・・・!!』

「げほっ・・」

とっさに、足で蹴り倒して陰から逃げ出し息を整えた

倒れた妖は、しばらく動けずにいたが
そろりと立ち上がって笑ったように見えた

「・・・・・・」

危険だと分かっているのに
体が動かない

『・・・人の子だ。人の子だ。人の子・・・・・・・・・人の子』

「・・・・・・っ」

再び、すっと伸びた手は、触れる一歩手前でだらりと下に降りた

『・・・・・・・・・・』

「・・・・・おれに、何かよう・・・か?」

動かない足はそのままに
立ち尽くした妖に声をかけた

もしかしたら、友人帳に名前があるのかもしれない

『・・・・・・・・人の子』

「ああ」

人というには不恰好な様子から表情を読むこともできない
こんな時に、先生は何をしているんだ
そう思っていると、その妖は、首を傾げ
また岩陰に戻って行った

一体なんだったのか
気づけば、身体も動くようになっていた



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