先生に、そのことを話せば
関わらない方がいいと言った

それから、数日しても
やはり、あの妖のことが頭から離れず
再び、あの岩陰に近づいた

「・・・・・・」

『・・・・・・』

じっとこちらを眺めていた
そして、またにやりと笑ったような気がした

『・・・お前、・・人の子・・・・・・祓う?』

「・・・いや、おれは祓い人じゃないよ。お前を祓うつもりで来たわけじゃない」

『・・・・・・?』

「・・・・・・」

また、不思議そうに首を傾げた

『・・・・見える?』

「・・・・ああ」

『・・・・・おいしそう』

「なっ?!・・・・・・」

ヒヤッとして身を引いたが
その妖の視線は、腕に下げていた七辻屋の袋を見ていた

「・・・・食べるか?」

『・・・・・・それ、知らない』

先生に頼まれたものだけれど
まぁ、いいだろうと1つ差し出すと
不思議そうに口に入れた

「饅頭好きなのか?」

『・・・・・さぁ』

「・・・・お前、変なやつだな」

『・・・変・・違う・・・・・・人の子』

少し不服そうに見えた
それが何ともおかしくて、笑えば
また不思議そうだった

時間も時間なので
その場を後にすれば
後ろから、あの妖が近づいてきた

「・・・ついて来ても、もうやらな・・っ!」

姿をすべて表した、その妖がざっと自分の横を通り過ぎ
突如目の前に現れた別の妖を押し倒し

そのまま

その妖に喰らいついた

「・・やめろっ」



目次
ALICE+