「………ミッションでも行ってきたのか?」
「ソーマ先輩! えへへ、少し油断してしまいまして…」
ボロボロになったしらたまを自販機前で見つけたソーマは思わず声をかけていた。
所々焦げ跡も見受けられるのは誰かの誤射も合わさったからだろうが。
椅子に座り、足を振っていたしらたまは拗ねたように頬を小さく含まらせ、顔を赤らめつつ言った。
「いつもはソーマ先輩と一緒なのに、今日はいなかったから、ちょこーっとだけ失敗してしまったんですー」
「……お前だけだな。そう言うのは」
珈琲を買ったソーマがしらたまの隣に座る。
顔を真っ赤にしたしらたまが、慌てて足を揃えて上品に座る。
憧れのソーマ先輩が隣にいるだけでしらたまは幸せだった。
ソーマは真剣な表情でしらたまを見ていた。
「お前は死神が怖くないのか」
一緒に組んだ仲間が死に、死神と呼ばれる中、しらたまは第一部隊のメンバーと同じく屈託なくソーマと接する。
今も嬉しそうなしらたまを見て、ソーマは聞いた。
だがしらたまはキョトンと首を傾げて、次にまたニコニコと笑っていた。
「怖くないですよー?
第一、こんなご時世ですもん。死神さんくらい誰にでもついてますよ。
それに、白い死神さんなんていませんよ」
ソーマの髪の色を見てにっこり笑ったしらたまにソーマは呆れたような、だが微かに嬉しそうに、ニヤリと笑い返した。
「馬鹿だな。お前は」
「いきなりひどいです!」
「…俺も、馬鹿だったみたいだがな」
手に持った珈琲を飲み干したソーマは、その空き缶をしらたまの頭の上にバランスよく乗せた。
(死神)
ソーマ先輩は死神さんなんかじゃありません。
たとえもし本当に死神だったとしても、私も死神になればいいのです。
死神同士なら、傷付く事も無いでしょうから。