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『淫乱だな―、こんなに欲しがるもんか』
下品な台詞が蘇る。 避けずんだ、視線。
まるで、僕を"人"とも思っていないような、視 線
僕は、淫乱で、もう汚い・・・。
「…あ…」
「…先輩」
「…ぅ、」
黙ってしまった僕を、彼はじっと見つめ・・、くそっと苦々しく吐いて、壁を殴りました。
僕に対する怒りをぶつけるように。
そして、僕に背を向け…、そこから立ち去りました。
僕のことを見ないようにして。
彼は、こちらに背を向け、もう僕の方を振り返ってはくれませんでした。
信じて、くれなかったのです。
僕が信じてと言えなかったから。
彼は、僕を信じることができなかったのです。
途端、身体は力が抜けて、地面に膝が付きました。ガクガクと、膝が震えます。
嫌われた。嫌われた。嫌われてしまった。
彼は僕より、友達の言う言葉を信じてしまった…?
「…、信じてっていえば…」
今から走って信じてっていえば、彼は信じてくれるだろうか…。
いや、いったところで、僕が他の男に抱かれたのは変わらない。
好きでもない男にいいように凌辱された事実は変わらないのだから。
ハラハラハラ。
はらはらと、涙が毀れる。
ごめんね、ごめんなさい。
はらはらはら。
涙でぬれる、地面。
「朔夜くん…」
泣きながら、呟く。
きっと、今僕不細工だ。
昨日から泣きすぎて頭がキンとする。
それでも、僕は泣き続けました。
彼の事を考えられなくなるくらい。
泣くしかできませんでした。
彼を引き留めるすべを、僕は知らなかったのです。
信じて、とも言えません。
散々、彼に虐められていたことを言えなかった僕が、強姦されたなんて言えるはずありません。
だから、僕は言えない気持ちを溢れさせるように泣きました。
それが、僕と彼の別れ。
そして、また別の出会いの始まりでした。
もう一人の、大切な彼の。
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