「やればできるじゃない、栞!」
「…うん…空のおかげ、かな…?」
引っぱり起こしてもらいながら、栞は照れ臭そうに笑った。その間に、ホエーモンの助力によってミミも上陸した。
「私の?」
「『勇気を出して』って、言ってくれたから、出来た」
「…?」
「分かんなくてもいいの。ただ、その言葉のおかげで、やろうって思ったから」
相変わらず説明調が苦手な栞だが、空にはその意図がちゃんと分かっていた。彼女も小さく微笑んで、二人は立ち上がるとその場で並んで、一緒にお礼の言葉を叫びながらホエーモンを見送った。
「で…これからどこに行くの?」
「ホエーモンが教えてくれたんだけど、ここから半日歩いた森の中にコロモンの村があるんだって」
「コロモン?どっかで聞いたことがあるような…」
「僕が昔コロモンだったよ」
「コロモンやったら、ウチらにも協力してくれるはずや!」
―――…勇気の紋章は、そこにある。
「…え?」
声が聞こえ、栞は後ろを振り返る。
「どうかしたのか、栞」
訝しげにヤマトに見られ、栞は声がしなかったかと尋ねると、彼は首を横に振った。
「聞き間違えじゃないのか?俺には聞こえなかったぜ」
「…でも、」
確かにはっきりと"勇気の紋章"聞こえた。
しかしそのことを告げることによって、彼らが困惑してしまうのも栞は嫌だったため、小さく笑ってごめんと言った。
「うん、聞き間違え、かも」
「だろ?」
「うん」
「よっしゃ、それじゃあ出発しようぜ!!」
太一の号令で、彼らは再び陸地を歩き出した。
17/07/26 訂正
10/11/23 訂正
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