039 指折り数えた犯した罪




「…、綺麗」


 子供たちが寝静まったころ、栞は一人外で星空を見上げていた。
 何故だかは、分からない。ただ、酷く目が冴え、眠ることが出来ない。そんな日々が、彼らがタグを手にいれた時から続いていた。


「…そろそろ、戻らなきゃ」


 もし自分がいないことに気づいたら、イヴモンは心配するだろうし、夜中に一人で外に出るなんて不謹慎だと怒られかねない。腰をあげながら、そんな様子を思い浮かべ、小さな笑みを浮かべた。
 それから自分にとってイヴモンとはどんな存在なのかと考えてみた。 友達…しっくりくるものではない。仲間…確かにそうだ。しかし、彼との間柄を一番しっくりとくる形で現すとしたら、家族だった。


「みんなは、どう感じているのかな」


 パートナー。唯一無二の存在。相棒、仲間。そんな風に感じているだろう。栞だってそうだ。しかし、"家族"と言ってしまった方が早い気がした。


「……え?」


 家屋へと踵を返した時、栞の視界に、数匹のパグモンの集団が映った。


「……あっ!」


 そして、彼らによって攫われているトコモンの姿も。


★ ★ ★




「栞…?」


 イヴモンは、すぐにその違和感に気づいた。いつも自分のすぐそばでぬくもりをくれる存在がいない。それからすぐにパグモンの存在を疑って、今までにないくらいの冷えた瞳を世界に見せた。


「くそ…なんで、僕は…」


 それから急いで子供たちを起こした。するとタケルと一緒に眠っていたはずのトコモンもいなくなっているという。子供たちはすぐに二人を捜し始めた。


「トコモーン!栞さーん!」
「トコモーン!?」
「栞ーっ!」

「どこにいるんだよ…」
「トコモン、聞こえてたら返事をして!」


 どれだけ探し回っても、二人は見つけることはできなかった。光子郎が地面にかいた地図に、×印が増えていくのを見て、誰もがため息をついた。


「ダメ…どこにもいないわ…」
「こっちにもいなかった…」

「いなかった、いなかった…」
「滝のほうにはいなかったよ!」


 瞬間、イヴモンの鋭い瞳が、パグモンにむけられた。

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