076 ねらいをさだめたなら
「…分かった」
太一がやがて、力いっぱいに頷いた。長い沈黙の末の決断だった。もし自分の判断が間違えだとしても、この仲間と一緒ならば、どんなことだって乗り越えることができる。そう、信じた彼の、大きな決断。
やはり彼は太陽だった。時には暑い位、でも暖かく道を照らしてくれた。
「もう一度確認しておきたい。本当に俺の判断にしたがってくれるんだな?」
扉の前まで歩いていき、太一は振り返らずにそう告げた。全員、間髪いれずに頷いた。
「よし!じゃあ決めた!―光子郎、お前が選んでくれ!」
振り向いた太一の顔は、やけに明るさに満ち溢れていた。名指しされた光子郎は「え?ぼ、僕ですか?」と戸惑った風に躊躇ったが、「太一さんが決めたんなら」「頼むよ、光子郎」という仲間の声に、彼の口角はだんだんと結ばれていった。「はい」力強い、返事だった。
「…さてと」
「光子郎はん、パソコンで何か分かりまへんやろか?」
「パソコンで?…インターネットが使えたら、オカルト関係のひとに聞くこともできるんだけど…」
カタカタ、とキーボードを軽やかにタッチしていくと、画面上にはデビモン・レオモン・オーガモン・ケンタルモン・ホエーモンなどのデジモンたちの情報がデスクトップに出力された。
「…ん?」
ケンタルモンのところで、光子郎が僅かに反応する。一度ホエーモンを開いたタグを閉じ、もう一度ケンタルモンの頁を開く。更にバックを繰り返し、レオモンを抽出する。
「なら――猿は?」
カチ、カチ。 エテモンのページが現れた。「これだ!」三体のデジモンのページをデスクトップ上に並べ、更に考え込むようにその画面を見つめた。
「でも…意味は…」
それだけ分かっても意味が分からない。先ほどの栞と同じところで詰まった。そんな彼の後ろから、優しい声が降りかかった。
「…デジモンには属性がある」
「え…?」
「データ、ウイルス、ワクチン…。彼らには固有の属性があって、それらのグループに属することがある」
「属性…!」
その言葉通り、光子郎は属性のリンクをクリックした。すると、レオモン=成熟期ワクチン、ケンタルモン=成熟期データ、エテモン=完全体ウイルスと表示された。
「誰か!デジタマモンとトノサマゲコモンに会った人!」
「あ!僕だ!」
「デジヴァイスを!!」
丈から受け取ったデジヴァイスを素早くはめこみ、データを読み込む。トノサマゲコモン=完全体ウイルス。
「もしかしたら…!」
「分かったのか!?」
「―説明します!」
そういうと光子郎は子供たちの前に膝を折り、地面に6本の線を書き、横には右から猿、射手、ライオン。縦には上から星1個、星2個、星3個を描いた。石板と同じような割り振りだ。
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