「な、なんであんなところから?」
「…ンなこと言われたって…」
「オイラ難しいことわかんないよ」
「たぶん、あれですよ。異次元空間の切れ目があそこにあるんです!」
「だってさ…」
「そっか」


 ガジモンが持っていたものはどうやら花火だったらしく、その花火はマーチングフィッシーズによって偽物グレイモンに届けられた。パンパンという音が響き、グレイモンは偽物から離された。


「さあ!今のうちにここから逃げましょう!」
「そうですね、でもどうやって…」
「穴を掘れバ…どうカナ?どウせネットかラは出らレナいンだし、それニ、」
「紋章が、あるかも、」
「それだ!」


 子供たちは力を合わせて一枚一枚地面の岩を剥いでいく。簡単に取れるものだと関心していた矢先、黒いケーブルがどこまでも彼らの邪魔をした。


「くそ、黒いケーブルか…。それにこの岩が、」
「…?それ、は」


 見たことのある文様に、栞は目をぐっと細めた。読めないはずの文字が、栞の頭の中で翻訳される。


「"誠実の紋章"…。丈さん、」
「は、反応してる!ま、まさか、この岩が?」
「その岩に、タグをかざして」
「ああ!」


 丈がタグを岩の上に置いた。岩は青色の光を灯し、割れた。その中から、太一のものとおなじ紋章が現れた。喜ぼうと頬を緩めた瞬間、近くにあった岩々も崩れはじめ、彼らのいたところにぽっかりと穴ができた。――落ちていく。だが、丈だけは紋章を空に掲げ、嬉しそうにしていた。


17/07/26 訂正
10/03/18 - 10/11/27 訂正

back next

ALICE+