048 煌きを忘れないで




 ミミは紋章がほしくないと言った。
 それでも暗くなるのはやめ、明るく前向きにいこう、と考えた子供たちは再び炎天下を歩き続けることにした。


「さっきまでと違って、ちょうどいい天気だよなあ」
「風が気持ちいいねぇ…」


 栞とも仲直りできたからか、太一はいつもより明るい声で言った。アグモンもいつもと同じ様子で太一に続けた。足取りが軽いせいか、みんなよりも先を歩く太一の背中を見ながら、他の子供たちは頑張って追いつこうとすることすらしない。
 しかしいくら明るく頑張ろうと意気込んだところで、根っこから不安を取り除くことはできなかった。ミミはずっと紋章を見つめ、時折まわして見ていたりしていた。


「紋章は手に入ったけど…使い方が分からないんじゃな…」
「正しい育て方、って言われてもねぇ…」
「でも」


 光子郎が苦笑しながら言った。


「でも、すべての紋章が見つかったわけじゃないんです。まず紋章を全部集めて、それから考えることにしましょうよ」
「そうだね…、まだまだ、分からないことはたくさんあるからな」

「おーい!何やってんだよー!早く早くゥ!置いてっちゃうぞー!」

「今ねー、デジモンについてのとっても大事な重要会議しているの!すぐ行くからちょっと待っててねぇ!」


 タケルが笑顔でそう言った時、太一の足もとに、ひとつの影が映った。


「っ八神くん!」
「え?」


 いち早くその異変に気付いた栞が、太一の名を呼ぶが、太一はそれに気付けなかった。その時、太一の足もとが揺らぎ、突如現れた赤い巨体に太一は吹き飛ばされた。

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