「ポヨモーン!」


 タケルはポヨモンを見失ったらしく、煙の中でポヨモンの姿を探していた。


「タケルくん?」
「栞さん、ポヨモンがいなくなっちゃった…」
「ポヨモンなら、あそこにいるよ」
「え?…あ、ポヨモン!そんなところに入っちゃだめだよ!」


 タケルはポヨモンを持ち上げると、ポヨモンが何かを抱えているのを見つけ、栞の顔を見た。


「これ…?」
「…うん」


 優しい笑みを浮かべ、栞はそっとそれを抱え上げた。


「栞、タケル!」


 太一を筆頭に、みんなが栞のまわりを囲んで、箱を見つめた。栞は何も言わないまま、その中をそっと開けた。


「これが、タグか…?」
「そうだネ。君たちのタグだよ」
「ゲンナイさんが映し出したのと同じです!」
「きれいね!」
「ん?…でもこれ、7個しかないぞ?」
「誰の分が足りないのかしら…」
「私の、だと思う」


 じゃらり、と箱に入ったタグを持ち上げ、栞は呟いた。本来ならば子供たちの数の分だけあるはずのタグは、ひとつ少なく、7個しか入っていなかった。


「…栞ハ守人ダかラ、必要ナいのサ」
「イヴモンが進化できないから、ってのも関係あるのか?」
「余計なこト言ワないノ!」
「あはは!わるいわるい!」
「もウ…」


 ぷう、と頬を膨らませたイヴモンに、太一はひたすら(笑いながら)謝り続けた。それはホエーモンの上に戻るまで続けさせられた。


「紋章はサーバ大陸のあちこちにバラまかれたって言ってたな…」
「うん…タグと紋章が合わされば…」
「僕たちはさらに進化できるんだね」
「ああ、紋章も必ず探し出すぞ!!」


 夕陽に向かって、彼らの新しい冒険への決意を示したのだった。
 それと同時期、彼女が己の中に何かしらの違和感を覚えたのが、全てのはじまりだった。


17/07/26 訂正
10/11/23 訂正

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