振る舞い
「…ん………、」
飛行船の中、自分の部屋で羽を休めていたオレは目が覚めた。
どのくらい眠っていたのか確かめるため時計に目をやると、大体3時間ほど眠っていたらしい。
1時間ほど寝られたらと思っていたが、まさかの3時間も寝ていたことにだいぶ疲労が蓄積していたのだと知る。
ゆっくりと上体を起こし、睡眠時に乱れた髪を掻き上げて一息ついた。
ちょうどその時、部屋の扉を叩く音が響く。
「クラピカー!起きてる?」
「…#name#?」
扉越しから聞こえた声は#name#だった。
起きた直後から好きな女性の声を聞けるというのはなんとも嬉しく幸せなもの。
自分でも分かるくらいの頬の緩みを感じ、彼女と話すために扉を開ける。
「クラピカ、休んでる時にごめんね」
「いや、ちょうど起きたところだ。何かあったのか?」
「うん!ちょっとゴンたちに集まってもらってるんだ。クラピカも来れるかな?」
「?あぁ、構わないが…」
「ありがとう!じゃあさっそく行こう!」
#name#がここへ来た理由は、どうやらオレやゴンたちを集合させるための呼び出しのようだ。
わざわざ彼女が一人でオレの部屋へ来たのだから、自分にだけ用があるのかと少し期待を膨らませたが、人生はそう上手くはいかないらしい。
しかしそれでもオレに用向きがあるのも事実で、部屋の鍵を閉めて一緒に目的の場所へと向かうことにした。
ーーー…
ーーーー…
ーーーーー…
歩き出して大体5分ほど経過した辺りだろうか、#name#はあるところで立ち止まった。
扉は開閉型で大きく、我々が休んでいた部屋とは訳が違うほど頑丈な造りをしている。
その丈夫な造りから察するに、この先にある部屋はハンター委員会の人間が利用しているものと思われる。
ここで疑問に感じたのが、何故こんなところを受験者の一人でしかない#name#が知っていて、なぜ我々をここへ連れて来たのかということ。
#name#と試験官が親しげに話していた姿は見なかったし、知り合い同士ということも聞いたこともない。
だとすると考えられるのは、我々が部屋で休んでいる先程の間に接点があったということになる。
#name#を横目で見るととても嬉しそうにしていて、何か重大な問題があったわけではないようだ。
そこまで警戒するような事柄とも思えず、とりあえずゴンたちは既に入室しているとのことで、実際にオレも中へ入ってみなければ#name#の目的も分からない。
ドアノブに手をかけ、頑丈で重みのある扉をゆっくりと押した。
「あ!#name#、クラピカ!」
「遅かったなクラピカ」
「オレたちはもう集まってたぜ」
「うん、これでみんな集合したね」
扉を開くとそこにはゴン、キルア、レオリオが既に居て、3人はテーブルに着席していた。
扉の造りから室内はかなり広いイメージがあったが思ったほどではなく、どちらかというとこじんまりとした空間だ。
部屋には入ったものの状況をイマイチ把握できていないオレの背中を、#name#が軽く押して席に着かせる。
そして#name#は我々が座っている席には腰を掛けず、そのまま部屋を出て行ってしまった。
ここへ呼んだ#name#本人が退室してしまったことで疑問は更に深まってしまう。
理由があるのは明白だが、#name#はそれを説明しないまま立ち去ってしまったので訊くに訊けない。
…先に席へ着いていたゴンたちなら、何か知っているのではないだろうか。
「ゴンたちは#name#がなぜ我々をここへ呼び出したか知っているのか?」
「ううん、実はオレたちも知らないんだ」
「#name#のヤツ、訊いても笑顔で逸らすんだぜ」
「ま、気になるがそのうち分かるだろうな。オレたちはここで#name#が来るまでここで待ってればいい」
「…そう、だな」
残念ながらゴンたちも呼ばれた理由は不明のようで、レオリオの言う通り#name#が来るまでここで待機することしか出来ないようだ。
#name#のことだ、おそらく見せたいものでもあるのかもしれない。
何か疑問があるとつい色々と考えてしまうクセがあるが、これ以上詮索しても意味がないと諦め、ゴンたちと会話しながらゆっくり待つことにした。
振る舞い(中編)
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