一人の夜、仲間と一緒の夜
「よっしゃー!またオレの勝ちー!」
「くっそー!キルア、お前トランプ強いなー」
「負けなしだもんね。よし、私も今度こそ勝てるように頑張る!」
「#name#、楽しそうで良かったねクラピカ」
「ん…あぁ、そうだな」
オレとレオリオが使っている相部屋にゴンたちが来て、我々はトランプゲームをして遊んでいる。
行っているゲームはババ抜き、神経衰弱、七並べ、大富豪、ポーカーなど。
レオリオの言う通り、キルアがとても強くて苦戦を強いられている。
色々なゲームをしているうちに時間は過ぎていき、時刻は23時を回っていた。
ゴンやキルアもさすがに眠くなってきたようで、大きな欠伸を漏らしたり瞼が重くなっているのが分かる。
そして#name#の方を見ると。
「………ぐぅー……。ぐぅー……。」
「#name#、寝ちゃったみたいだね」
オレが本を読んでいたベッドで#name#はぐっすりと寝ていた。
その寝顔が可愛らしくてついじっと見てしまうが、そんなオレの心情を知ってかゴンたちはやたらと目元や口元を緩ませている。
ゴンはおそらく純粋な気持ちなのだろうが、キルアとレオリオに至っては疚しいことを考えているに違いない。
特にレオリオの、いつもとは異なる厭らしい笑みを見ているとため息が出てしまう。
とりあえず#name#を起こさないよう、小声でゴンたちにどうするかを問いかけた。
ここでこのままオレのベッドで寝かせて、もう一つのベッドでオレとレオリオの二人で寝るか。
それとも#name#を一度起こし、彼女の部屋まで送り届けるか。
少し悩んだ末、オレが#name#を抱き抱えて彼女の部屋まで連れて行くことに。
後ろからキルアとレオリオの茶化す発言が聞こえてきたが、敢えて何も言わずに無視を貫いて彼女の部屋へと歩を進めた。
ーーー…
ーーーー…
ーーーーー…
#name#の部屋へ入り彼女をそっとベッドへ寝かせる。
抱き抱えても体を動かしても起きないということは、よほど深い眠りに入っているのだろう。
ここへ来た本来の目的である、"#name#を部屋まで送り届ける"という義務は果たしたため、すぐにこの部屋から出ても良かったのだが。
「……ぐぅー……」
「全く、私の気も知らないで…本当に無防備だな…」
#name#の幸せそうな寝顔を見ていたらもう少しだけこの空間に留まりたくなってしまい、彼女が眠りから覚めないよう静かにベッドへ腰を沈める。
横目で見ると、相も変わらず規則正しい寝息を立てて寝ている#name#。
言葉で発した通り、#name#は本当に無警戒だなと思う。
夜に軽装で男の部屋に来たり男のベッドで寝てしまったり。
我々だから良いが、もし他の男たちにもこのような感じだったらと思うと正気では居られない。
普通の男だったら間違いなく#name#は襲われているだろう。
とはいえ他の連中にはそういったことはしないだろうし、我々だから心を許していると思えばいいのだが、実際にどうかは分からない。
誰にでも隔てなく接する#name#のことだ、もしかしたらそういうことは気にしない性格なのかもしれない。
だがあと何年かすれば二十歳になる年齢、やはりもう少し危機意識を持ってもらたいとは思う。
「#name#…私に襲われてもいいのか?」
「……ぐぅー……。ぐぅー……」
「ふっ…、本当に起きないな」
寝ていることを良いことに我ながら際どい台詞を発してみるが、やはり#name#は起きない。
…いっそのこと、本当に襲ってしまおうか。
じっと強い眼差しで#name#を見ていたが、その可愛い寝顔と何を言っても起きそうにないこの状況が後押ししたのか、オレの手は彼女の頬へと迷いなく伸びていく。
触れた頬はサラサラしていてとても感触が良く、ずっと撫でていたくなるほど。
やがてもっと色々な箇所に触れたい欲が疼き、彼女の唇にそっと自分の人差し指を当てる。
数秒ほどそのままで居ると、少しずつオレの指が#name#の唇によって熱を帯びていくのが分かった。
彼女の唇に触れている現実に鼓動を高鳴らせながら、オレはいまだに起きる気配すらない#name#の頭を撫でる。
整髪料も何もつけていないからか、頬と同じくサラッとしていた。
肩より少し長めの艶がある髪、安心したように継続して眠る#name#に欲情して彼女の上に覆い被さる。
それでも起きない#name#に"起きてほしい"気持ちと"まだ起きないでほしい"という気持ちが混ざり合いながら、オレは彼女の頬に自分の唇を押しつけた。
それでも、やはり起きない。
あまりの熟睡ぶりにさすがに苦笑してしまうが、#name#らしいといえばらしいか。
自分の体をゆっくり彼女から離し、もう一度だけ#name#の頭を髪が少し乱れる強さで触れる。
「おやすみ、#name#……」
己の破裂しそうな理性をなんとか抑え、#name#の耳元で夜の挨拶を囁きオレは彼女の部屋を後にした。
一人の夜、仲間と一緒の夜(後編)
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