Sleep Time


傷心


「クラピカって本当に目が大きいよね!」
「そう、か…?」
「うん!顔も美人さんだし女の子みたいだよ」
「女の子…」
「あーあ、羨ましいなぁ…」



場所は飛行船でオレの部屋。
ゴンとキルアは船内を回りながら遊びに行っており、レオリオは他の受験者と息が合ったらしく広場で会話をしている。
残されたオレと#name#は各々の部屋で休む予定だったが、#name#から一緒に話がしたいと言われ自室に誘った。

おそらく彼女にとって深い意味はないのだろう。
だが#name#が好きなオレにとって、話がしたいと言われ簡単に自分の部屋へ入るところを見ると少し期待してしまう。
…が、それはオレの自惚れだったということが、先程の彼女が発した言葉から分かってしまった。
発言から察するに、#name#はオレのことを男として見ていない。


彼女は天然で優しい女性だが、天然だから故に知らず知らず相手を傷付けることもある。
それが今だ。
目が大きいならゴンやキルアも当てはまる為まだいいが、女の子みたいというのはかなり失礼な気がする。
もちろん悪気があるわけではないのは分かっているが、だからこそ尚更タチが悪い。
他の女性にならどう思われても全く構わないが、#name#にだけは男として見られたい。



「#name#、男に対して女の子みたいと言うのはあまり良くない気がするが」
「え…あ、ごめんね…」
「………」
「ごめんなさい…」



普段のように軽く叱る程度では効かないと思い、オレは瞼を閉じていつもより低い声で彼女に叱責する。
するとかなり効力があったらしく、#name#はオレが想像した以上に戸惑いと恐怖の声で謝罪してきた。
少し怖がらせてしまったか、そう思い瞼を起こして#name#を見ると驚くくらい困惑していて、今にも泣きそうな表情。

こんな顔をさせてしまった張本人がこんなことを思うのもおかしい話だが、そのつらそうな表情を見た瞬間、体全体に寒気が駆け巡る。
そして同時に動揺も走り、普通に接すれば良かったと後悔すら覚えた。
"強く言い過ぎた"、"失礼なことを言った"、いつものようにお互いが謝ればそれで終わることなのに、オレの口は半開きのまま声が出せない。
#name#もオレが怖くて閉口している。

どうすればいいか分からないオレだったが、数秒ほど硬直したあと何故か反射的に体が動き#name#の腕を掴んで強引に引き寄せる。
両腕で#name#を強く抱きしめたあと、彼女の顎を片手で持ち上げて自分の顔を近付けた。
#name#の肌はとても白くキメも細かい。
オレの目が大きいと褒めていた#name#だが、#name#の目も大きく二重の線も綺麗でぱっちりとしている。
綺麗で可愛くて、このままずっと見ていたくなるほど。


男女がこんなに接近したら、することはたった一つ。



「#name#…」
「ん…っ!あ…、クラ……、んう…っ?!」
「私は男だ」
「んん…、…はっ…、ご、ごめんなさい…分かったから…わっ!」



この状況をマズイと思ったのか、#name#はまた謝罪をしてオレの腕から逃げようとする。
もちろんそれを許すほどオレは優しくない。
むしろその行動が更にオレを苛立たせ、頬にキスを落としたあと潤っている彼女の唇に自分の唇を強く押し付けた。
#name#の顎は常にオレの手首が支えているため、彼女は避けることが出来ずにされるがまま。

苦しそうにして酸素を欲しがる#name#は、オレの胸を軽く叩いて助けを請う。
その時だけは唇を離してたくさん息を吐かせ、少し楽になったらまたキスをする、その繰り返し。
息苦しそうにする#name#は目が虚ろになっていて頬も赤く、普段の彼女にはない雰囲気を漂わせていた。
可愛い。ただただ可愛い。
もっとオレだけが、他の誰も見たことがない#name#の色々な顔が見てみたい。
#name#の全てを、オレだけが独占したい。


独り占めしたい衝動からオレは#name#の体を抱き上げてベッドまで運び、彼女をゆっくりと降ろす。
そして逃げ出さないようすぐ彼女の上に馬乗りになり、まだ息が上がっている#name#の唇にたくさんの口付けを交わした。
戸惑いながらも必死の抵抗を見せないのは、本気で嫌がっているわけではないという証。
我ながら都合が良すぎる解釈だと呆れてしまう。



「ん…んん…っ、クラピカ…」
「私も聞き流すことが出来ないこともある…少しは分かってくれたか?」
「ごめん、なさい…」
「#name#、可愛い…」
「わ…、ん…っ」



とろけそうな顔で口を開く#name#。
三度目の謝罪を聞き入れ、額と唇にキスを一度ずつ落とす。
とうに先程の怒りは解けていたが、#name#と二人きりというこの空間に心が侵食され、歯止めが効かない。
今までずっと抑えて来たからか。

息を荒くしながらも全て受け入れてくれる#name#に甘えて、オレの行動は更に加速してしまいそうだ。
大人の雰囲気が漂う中、オレの喉がコクリとゆっくり鳴る。
ベッドで#name#を押し倒しているオレ、オレに押し倒されている#name#。
#name#はこれから、オレが自分に何をしようとしているのか悟ったらしく、恥じらいの表情を表に出して口の端を結ぶ。


そしてキス以上の行為に及ぶため、オレの手はゆっくりと#name#の胸に向かった。





傷心



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