仲間×恋愛×想い人01
「クラピカ…私、ゴンにフラれちゃったよ…」
「#name#…」
「うぅ…っ」
「………」
ハンター試験も明日で終わり、5人が合格出来るかどうかが決まる日。
今はハンター協会が運営するホテルで、相部屋となった#name#と二人で体を休めている。
とはいっても、#name#は暫くの間この部屋から離れ、今しがた帰って来たばかり。
帰って来た途端、冒頭の言葉を辛そうに話す。
#name#の悲痛な泣き声を耳にしていると胸が張り裂けそうになるが、同時に彼女の気持ちを受け入れなかったゴンの行動にほんの少し…いや、だいぶ安堵してしまったオレが居た。
なぜ安堵したか。
理由は簡単、オレが#name#のことを好きだからだ。
#name#がゴンに思いを寄せているのは彼女の普段の行動からでも予測できたし、本人からその気持ちも聞いていたため知っている。
何度も彼女の口から出たゴンの名前、ゴンと話したことを嬉しそうに語る姿、思い人からのちょっとした言葉で切なくなってしまう表情。
#name#の発言や仕草、行動、その全てに傷付いてきた。
「ゴンが…私が好きなのは自分じゃないよって……っ」
「……」
「私はゴンが好きなのに…」
先程ゴンにかけられた言葉をオレに話し、また瞳から涙を流して嗚咽する#name#。
オレはただ隣で黙って聞くだけしか出来ない。
彼女の悲しげな声を聞くのは本当につらいが、どうすれば流れる涙を止めてあげられるのか、自分には分からない。
…いや、本当はある、たった1つだけ。
#name#の涙を止める方法、それは他のことで頭をいっぱいにさせてゴンとの失恋を忘れさせてやること。
例えば食べ物をたくさん食べたり、どこか見晴らしの良い場所に連れて行って悲しみを忘却させたり。
だがそれで忘れることが出来るのはきっとその瞬間だけであって、根本的な解決には至らないだろう。
ではどうするか。
それは、#name#の頭の中をオレでいっぱいにすること。
オレをただの仲間としてしか見ていない#name#が、自分で頭を満たす手法…。
「…#name#」
「う…、なに?クラピカ…」
「もう、#name#の悲しい顔は見たくない」
「あ…。ご、ごめんね…っ、ついクラピカに甘えちゃっ……」
「#name#……」
「ク、ラピカ…?」
#name#が部屋に戻ってから、オレと#name#はベッドに浅く腰をかけて隣合わせになっている状態。
ずっと黙っていたオレが#name#に話しかけ、それにより目線を下に伏せていた彼女がようやく顔を上げてくれた。
重なり合った視線だが、やはり彼女の目は濡れていてなかなか止まりそうにない。
…そんなにも悲しいのか、ゴンにフラれて。
オレだったら#name#にこんな顔をさせることなんてない。
今も#name#は頭も心もゴンに向いているのだろう。
…そういえば先程、ゴンから"#name#の好きな人物は自分ではない"と言われた、と#name#が言っていた。
もしゴンの言葉が本当だとすれば#name#は別の男に好意を抱いているということになるが、間違いなくその中にオレは居ない。
それでも、頭で想像していることを行動に移せば…少しは#name#もオレを意識するだろうか。
この流れている涙を、止めることは出来るのだろうか。
目線は#name#を見つめたまま彼女の小さな手を握り、この気持ちが届くようにと更に真っ直ぐ#name#を見る。
そのまま少しずつ距離を縮め、恋人のような近さになるまで顔を近付けた。
さすがの#name#も、普段とは少し違うこの空気に気付いていて動揺の表情をしている。
金縛りに遭っているかのように瞬きもせず微動だにもしない#name#は、蛇に睨まれた蛙に似ていた。
そう、捕らわれたモノは捕食される運命にある。
「#name#」
「…っ、ク、ラピカ」
「どうすれば君がゴンへの気持ちを断ってくれるか…そのことばかり考えながら過ごしていた」
「…??」
「…やはり分かっていないか」
「あの…クラピカ、どういう……、ん…っ?!」
繋いだ手は離さず真っ直ぐに彼女を見据え、己の欲に敗けたオレは#name#の唇に自分の唇を強引に押しつけた。
#name#が悲しみに暮れている時にこんなことをするのは姑息だとは思ったが、もう止められない。
どうにかして#name#を振り向かせたい、どうにかして#name#の瞳にオレを映してほしい。
彼女の気持ちを無視した自分勝手な気持ちがオレの行動を後押しし、空いているもう片方の手を#name#の頭へ回す。
今より更に#name#を引き寄せ、酸素を補給するために唇を離しすぐにまたキスを続けた。
苦しそうに呼吸をする#name#は普段にはない色気があり、愛しさと欲が増していく。
好意を抱いている相手ではなく、仲間という意識でしか見てこなかった相手にこんなことをされて、#name#は今どんな気持ちでいるだろうか。
恐怖で頭がいっぱいになってしまっているだろうか、それともオレの行動に幻滅しているだろうか、あるいは突然のことに思考回路が停止しているだろうか。
今後のことを考えたら、本当はこんな行為に及ぶべきではないことは充分に分かっている。
#name#の気持ち次第では今までの関係性にすらヒビが入るようなことを実行して。
心ではマズイと信号を出しているのに、体が、脳が、それを拒否して聞かないようにしている。
欲に敗北したオレは口付けを止め、#name#の体をベッドへ押し倒していた。
仲間×恋愛×想い人
- 34 -
*前次#
ページ: