アルコール01
それはハンター試験の飛行船で、5人で食事をとっていた時のこと。
テーブルに置かれているコップに#name#とレオリオが口をつけた時だった。
「あっっ!!すいませんそれはアルコールです!!」
「…アルコール?」
「キルア、アルコールって?」
「確かオヤジたちが飲んでる、酔っ払いになるやつ」
「「?」」
5人で談笑しながら食事をしていると、突如としてコックが慌てた表情で出て来た。
我々が居る場所は船内のレストラン会場で、他にも多数の受験者が居たため最初は誰に言っているのか分からなかったが、コックの向かう先は迷うことなく自分たちの方。
もっとハッキリいえば、出された飲み物を口に含もうとしている#name#とレオリオが対象者のようだ。
大きな声で叫びながら制止したが時既に遅し。
#name#とレオリオはコックの声が掛かる前から飲み始めていたため、コップの中に注がれていたアルコールは飲み干してしまったあと。
アルコールというのは飲んだことはないが、確か大人が飲むものだったはず。
体が成長していない未成年が飲むと身体的にも精神的にも影響を及ぼす。
あのコックの様子からして、故意ではなく誤ってアルコールを注いでしまったのだろう。
おそらくアルコールを同色の水と間違えてコップに入れてしまったと考えられる。
「確かになんか変な味がすると思ったら…」
「#name#、大丈夫か?体に変化は?」
「あ、大丈夫だよ!そんなにたくさん飲んだわけじゃないからね」
「本当か?異変を感じたらすぐに言ってくれ」
「うん、ありがとうクラピカ」
「おい、オレもアルコール飲んだんだぞ」
「レオリオはオッサンだから大丈夫っしょ」
「バカ野郎!オレだってまだ未成年だ!!」
#name#に確認を取ると、きちんと呂律も回っていて特に体調にも変化は見られない。
レオリオも同じものを飲んではいたが相変わらずキルアに弄られて騒いでいるのを見る限り、#name#もレオリオもいつもと変わらない様子だ。
尤も口にしたとはいっても大量ではなくコップ1杯分。
いくら#name#たちが本来はアルコールを飲むに適していない年齢だとしても、急激に何かが起こるというわけではなさそうだ。
そう、この時はそう思っていた。
それから10分以上は経った頃、最初に異変があったのはレオリオの方だった。
アルコールを飲んでからしばらく時間が過ぎても特に何もなかったが、段々と意識が遠退いていき今はテーブルで鼾をかきながら寝てしまっている。
レオリオがこうなってしまったということは#name#にも同じようなことが起こると察したオレは、すぐさま彼女の方に目線を向けた。
やはり#name#にも変化が出ており、瞼を重たそうに閉じたり踏ん張って開こうとしたりと、いつレオリオのように眠りに落ちてもおかしくない状況。
あれでは数分と持たないだろう。
ゴンとキルアはレオリオの様子を見ているため、オレは#name#の傍へ行って彼女の背中を擦った。
オレとしてはここで寝かせられないとの思いからやったことだが、逆に彼女の眠気を更に誘発してしまったらしい。
#name#は限界に達したのか、レオリオと同じようにテーブルに上半身を倒れ込ませて寝てしまった。
体を少し揺らして起こそうとするが、アルコールのせいなのか寝つきがよくそのまま眠りの世界に入っていく#name#。
女性らしい寝息を立てながら寝ている#name#を見ていたら可愛いと思ってしまい、一瞬この空間にオレと#name#しか居ないような錯覚を覚えた。
思わず頬に手を当てたくなったが、オレの錯覚はキルアとゴンの声によって現実に引き戻される。
「よっ…と、とりあえずオレたちはレオリオを部屋まで運ぶから、#name#はクラピカに任せるよ」
「いや、私一人では…」
「…怖いの?」
「…どういう意味だキルア」
「クラピカは#name#が好きだもんな。#name#と二人になって自分で居られなくなるのが怖いんだろ?」
「………」
「我慢しすぎも体に毒だと思うけどね」
「キルア!じ、じゃあクラピカ、#name#をよろしくね!」
ゴンは自分よりも倍以上はあるレオリオを軽々と持ち上げて背中に乗せ、今もテーブルで寝ている#name#はオレに任せると言った。
二人になるのはマズイと直感的に感じたオレは、どちらか一人一緒に#name#を運んでくれるよう頼もうとしたが、キルアの一言で少しだけ腹が立ってしまう。
ゴンもキルアも#name#に対するオレの気持ちを知っている。
キルアの発言はとても挑発的であり、#name#と二人になることを避けているオレを弄んでいるかのよう。
後ろに重たい雰囲気を背負っているのを感知したのか、ゴンはキルアの服をしっかりと掴み、足早にこのから姿を消していった。
この広いレストラン会場にはたくさんの受験者が居たが、食べ終えた者たちは既に自分の部屋へ戻っていったのか、いつの間にか殆ど居なくなっていた。
ゴンたちが居ない以上ここに留まる理由はもちろんなく、一向に起きそうにない#name#をテーブルやイスにぶつけないように抱き上げて離脱する。
そして時折、後ろで寝ている#name#のことを確認しながら彼女の部屋へ進んだ。
アルコール
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