再会
ノストラードファミリーに入ってからどのくらいの月日が流れただろうか。
緋の目を取り戻すためにハンターになり念を習得した後、このノストラードファミリーというマフィア組織に入った。
そして様々な経験をして今は若頭を務めている。
いつものように仲間の目の居場所を突き止めるため、目を所持していそうな人物の情報を集めたりパソコンで探索をしていると。
ヴーーー、ヴーーー、
スーツのポケットに入れていた携帯が震え出した。
仕事柄、よく話をするセンリツかと思いすぐ電話を取ると、向こうから懐かしい声が聞こえてくる。
「あ!クラピカ?」
「ゴン?」
電話の主はかつてハンター試験を共に受けた、大切な仲間のゴンだった。
マフィアに入ってからというもの、あの頃のような和気藹々とした雰囲気は全くなかったため、ゴンの声を聞いたら過去の日々を思い出して頬が弛む。
少しの間、互いの近況などを報告した後、ゴンから近くまた皆で会えたらと提案された。
その提言に少し迷いがあり、会うことを躊躇ってしまう。
何故かというと、ゴンたちと最後に会ったのはヨークシンシティ。
色々と遭った戦いではあったが、旅団のトップの心臓に鎖を巻くことが出来た。
そしてそのあとゴンたちと別れようとした際、#name#を突き放す発言をしてしまった。
ヨークシンの戦いのあと、センリツと一緒にノストラードファミリーへ戻ろうとしていた。
そこへオレを心配していた#name#が、我々についていきたいと言い始める。
これからオレのやることとオレの未来、そしてマフィアに所属するということはそれ相応の危険が伴ってくるもの。
#name#は仲間の中でもオレにとってかけがえのない、何よりも誰よりも大切な存在。
自分と一緒に居れば命の危険が常にまとわりついてくる。
だから、たとえ#name#の心を傷付けることになっても、オレは彼女と離れる道を選んだ。
ゴンの誘いは嬉しいが、#name#はもうオレと会いたくはないだろう。
オレ自身も正直、#name#にどんな顔をして会えばいいか分からない。
「…ゴン、悪いが私はいま忙しい。申し訳ないが会うのは断る」
「……#name#も居るよ?」
「…!」
「#name#、クラピカのことずっと心配してて会いたがってる」
「……………」
「忙しいのは分かるけど会ってあげてほしいな」
「……………」
会わない方がいいと判断した私はゴンに断りの返事をするが、ゴンから聞かされた#name#の気持ちを知り心臓の鼓動が早くなる。
あの日、皆の前でかなりキツい言葉を放ち、#name#の顔も一切見ずに列車に乗り込んだ。
#name#の安全のためとはいえ、心にもないことを言って大切な女性を傷付けた自分はとても罪深い。
出来るならもう会わない方がいいのだが、#name#の優しい思いを聞いてやはり会いたいという気持ちが募ってしまう。
会って謝って、そして思いっきり抱きしめたい。
もちろん、それが赦されるのならば、だが。
会うことへの迷いと会いたい欲がオレの中で交差し、それでもゴンの一言が背中を押したのか、先程の返事とは逆の発言をしていた。
「…分かった。」
参加の返事をしたあと、会う日時やら場所やらを決めるために少し話して電話を切った。
会うのは1ヶ月後、忙しいと言ったオレに配慮してくれたようで、オレが滞在している街までゴンたちが来てくれるとのこと。
今まで気を張り詰めていたから、こういった息抜きも必要かもしれない。
ーーー…
ーーーー…
ーーーーー…
1ヶ月後、ゴンたちと会う日になった。
慣れ親しんだクルタ族の民族衣装にするか、いつも着用しているスーツにするか迷ったが、最近はずっとスーツであるし、ゴンたちと会っている最中も何かあるかもしれないため、悩んだ末にスーツに決めた。
一応センリツにはゴンたちと会うことを伝え、もし急な事態があれば即座に連絡を入れるように頼む。
センリツはゴンたちを好意的に見ているので、今回会うことにとても賛成していた。
珍しく安心しているような、喜んでいるような顔をしているのが気になり、本人に表情の真意を訊く。
「センリツ、何故そんなに笑っているんだ?」
「えぇ、だってクラピカの心音、とても落ち着いているから」
「……………」
「ノストラードに入ってから、あなたの心音はあまり良くなかったわよ」
「……………」
「さ、いってらっしゃい」
「…あぁ」
センリツの心情を聞いて納得した私は、スーツやネクタイに乱れがないかを確認して事務所を出る。
"心音が落ち着いている"、か…。
確かに、久しぶりにゴンたちに会えると思ったら昔のような感情が蘇ってきたので、おそらくそれが今の心音に繋がったのだろう。
…あとは#name#と和解して、またあの可愛い笑顔が見られれば良いのだが。
ーーー…
ーーーー…
ーーーーー…
集合時間まで10分前くらいだが、少し早めに着いておいた方がいいと思いホテルの受付でサインをする。
どこかのカフェで待ち合わせかと思ったが、場所はホテルの一室で、そこで軽食をとりながらお互いの近況報告を交わす予定だ。
部屋は703番。
まだおそらく誰も来ていないだろうが、先に入って待とうと思い受付から渡されたカードキーを当てて扉を開ける。
無人の可能性が高いが、もしかしたらゴンたちが来ているかもしれないため一言声をかけてから部屋に入った。
「私だ、失礼する」
「…あ!クラピカ…」
「…!#name#……っ、」
部屋の扉を開けると、そこには数ヶ月ぶりに見る#name#の姿があった。
誰か居たとしても#name#一人で居るとは思わなかったオレは、彼女を見て軽く動揺してしまう。
一瞬どうすればいいか分からなくなってしまったが、集まる予定時刻まであと数分。
すぐにゴンたちも来るだろうと思い、#name#と二人きりは多少の戸惑いはあったが部屋で待つことにした。
再会(前編)
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