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 暫くポアロで作戦を立てていたが、先程のように横槍が入れられぬ所を見るに、やはり犯人は警察の介入さえ止められれば後はどうでも良いらしい。探偵といえども一般人。せいぜい巻き込まれる人間が増えたくらいにしか捉えていないのだろう。それが大きな間違いであるとも気付かずに。
 犯人から送られてきた恋人の動画を何度も何度も繰り返し見ては携帯を握る力を強めている男に、最低限の説明と注意事項だけを述べる。


「犯人の一番の狙いは貴方です。
しかし、貴方自身が動かなければ何一つ事態が動かないばかりか、関係のない大多数の人間まで巻き込まれてしまいます。
そこで、貴方には出来るだけ目立たないようにしながらこの少年、江戸川コナンくんと行動を共にしてもらいます」

「え?いやでも、小学生が大学構内にいたらそれなりに目立つんじゃ」

「大丈夫です。彼、そこら辺の立ち回りは上手いので。小柄ですしね」


 何となく下から、雑だな……とでも言いたげに胡乱げな視線が向けられている気はするが無視だ。困惑した男に
「あんたはどうするんだ?」と疑問を投げ掛けられて、ニッと笑みを浮かべる。


「もちろん、探すんですよ、爆弾をね」


 当然、目的はそれだけではなかったが。


「探すと言ったって、あんた、構内の地理も詳しくは知らないだろう」

「そうですね。でも、まあ、問題はありませんよ。それより、犯人から接触があれば逐一連絡をお願いします。
恐らくキーを握っているのはその携帯でしょうが」

「携帯……?」

「ええ。とにかく、この状況ではどこかで警察に連絡して構内の人達を避難させるというのも不可能です。
このタイミングで大人数の移動があればまず間違いなく警察の介入を疑われますからね。
大方、一番人が動くタイミングで爆弾を起動されるのがオチです」

「それは、そうかもしれないが」


 どう足掻いてもこの無謀な賭けに乗るしか選択肢は残されていないのだ。
 しかし、自分も、もう一人の探偵も、この事件を解決することが無謀だとは決して考えていなかった。
 元より自身の得意分野は、他人の感情の動きから情報を引き出すことなのだから。


「だけど、本当に爆弾解除なんて出来るのか?そもそも、爆弾を見つけ出すことさえ、」

「大丈夫だよ。犯人の狙いは分かってる。
あとは、見つけ出すだけだからさ」


 未だ不安の色濃く残る相手を見据えて、やはり無邪気とは程遠い、凡そ子供らしからぬ笑みを湛えて彼の少年探偵は告げるのだ。

 『トロイの木馬を探し出せ』と。





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