20
「ついたぁ!」
ようやく着きました七人塚。ここまで来るのに本当生きた心地がしなかった、一度妖怪兄弟に襲われてからは隠れながら先を急いだこの思い出。
そしてその思い出と共に思い出すのは、あの時妖怪をペロリと丸呑みしてしまった私の右腕である。一体全体私の腕はどうしてしまったのだろうか、あれはまるで奈落の様な、異形な腕だった。奈落の言うように私は本当に奈落から生まれた神楽たち同様分身と言うものなのか。
怖い。
だとしたら私の今までの20うん何年は一体何だったのか。
奈落出会うまで彼の存在なんて知らなかった、そんな私が奈落と関係しているのか。
ただただ怖いという感情しか出てこない。
もし、もしも私が奈落の分身ならなぜ私は現代に居たのだろうか。その謎だけが私の胸の中に一つ音を立てて落ちていった。
「それより七人塚見つけたけどどうしたらいいのか分からないから誰か助けて欲しい。」
「掘り起こせ」
「ぎゃあああ!!!」
七人塚の目の前にしゃがみ込み、どうやって奈落にお知らせすれは良いのか考えていると背後から投げられた奈落の声に驚き盛大に前に転んでしまう。
「な、ならくなんでここに…?もしかして!私のことが心配で…!?」
「聞こえなんだか?掘り起こせと言った。」
「相変わらずの冷たさ…わかったよ、掘り起こす道具貸してよ。」
「自力で掘り起こせと言ったが。」
「待って聞いてない。」
素手で掘り起こせって言うの?なんとなくスルーしていたが塚ってお墓ですよね、それを手で掘り起こすだなんてなんて罰当たりなのか。山を越えてすぐ、近くの村で話を聞いたところによると祟りがあるかもしれないから早々に立ち去る方が良いとか聞いたんですけども。それでも掘り起こさなければならないんですか?
チラリと奈落を見るととても冷たい目で私を睨んでいる。
あ、はい。掘り起こしますね。
側にある大きめの尖った石でガシガシ土を掘り起こし始める。女の力では急いでも今日中には終わらないかもしれないのだけどそれは奈落は分かっているのだろうか。
***
無心で掘る事云時間。日も暮れて来てこれは夜通し穴掘りさせられるヤツだ、と半ば諦めモードだ。
コツン、石が何かに当たり傷付けない様に素手で続きを掘り続けると白いモノが見えてきた。お城で元は人間だった白骨化した骨を触って埋めてきたんだ、今更骨を見ても触っても騒ぎはしない。騒いだところで後ろにいる奈落に冷めた目で見られるだけ。
「奈落、骨出て来たよ」
「他にも埋まっている。あらかた掘り出せ」
「多分今日中には終わらないよ。」
「退け。」
言われるがまま奈落の後ろに回ろうとする間もなく奈落は私の顔を掠めて妖怪の塊のような腕でその土を抉った。
最初からこうすれば良かったのではないだろうか。吹っ飛ぶ土と共に塚の屋根になっていたモノだったそれをぽかんと眺めながら思った。
大きな穴が出来たそこを見ると沢山の白骨化した数人のそれが乱雑に捨て入れられていた。
こんな葬い方は有り得ない、と一人顔を顰めていると横にいた奈落が一つの白骨化したモノに手を伸ばし、そのまま何かのかけらを喉元であろう所に埋め込むと途端に骨だったところに肉が付き始めどんどん人の形になっていくではないか。
目の前の事に腰が抜けて立てなくなっていると肉が付ききった長髪の青年がゆっくりと目が開き、こちらを伺う。
「この奈落に尽くせ、そうすればこの命はお前たちのものだ。」
青年にそう奈落は言って少し笑った。犬夜叉たちに刺客を送るために私はこの塚を掘り起こされてたのか。咄嗟に奈落を見ると、何も言うなとでも言っているような冷たい目をこちらに再び向けてきた。
ごめんかごめちゃん、私はまた奈落の手伝いしちゃったみたい。
何度目の後悔をしただろうか、かごめちゃんへの謝罪を胸の中でして何か話している奈落と青年に顔を向けるが今更ながらこの青年真っ裸なんだけど。目のやり場に困るんですけど。
服、着てくれないかなぁ。
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