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ずっと忘れていたけど私の肩には最猛勝が未だに留まっている。これが慣れと言うものなのだろう、もう肩にいても全然悲鳴上げることが無くなった。そしてキャサリンと命名し、蛮骨から頼み込んで手に入れた布でリボンにしてあげた。馬子にも衣装じゃなぁい?


「お前女なわけ?胸なさ過ぎて男にしか見えねえぜ?」

「セクハラだぞ!私だって気にしてるんだから!セクハラ!ノー!セクハラ!」

「はぁ?なんだそれ?つーか歳も俺より上で独り身なんだって?」

「蛮骨!!!!!!何で言うの!!!!!」

「あっおい!何大兄貴に殴りかかってんだよ!」

「あー悪かったって。なまえも蛇骨も仲良くしろよ…」


「え、何そのでかい武器。蛮骨力持ちだね。」って蛮骨と再会してすぐにいつもの感じでフレンドリーにそんな事を言ってしまったのが悪かった。初めて七人隊(五人隊)と顔合わせをしたのだが蛮骨大好きなんだろう蛇骨と名乗るこの男信じられないくらい性格悪い。出会ったばかりの蛮骨を思い出すほどだ。

すぐに食ってかかる私も悪いけど、悪いけど蛇骨酷くない?コンプレックスと未だに独り身という心の傷を凄い楽しそうに抉ってくるのだ。
落ち着いてください、と仲裁に入る琥珀くんの私を見る複雑な顔を見せてやりたい。琥珀くんまで年増って言いたいの?流石に泣くから墓場までその言葉を内に秘めて持っていって欲しい。

歳下は基本大切にするのがモットーだが七人隊はだめだ、可愛がりたい欲がまるで出てこない。


「まあまあ蛇骨、こいつ意外と料理上手いんだぜ。」

「えっ美味しいって思ってくれてたの?」

「じょうず、って意味だ。美味いとは言ってねえ」

「それ褒めてる!ねぇ!琥珀くん!神無!聞いた!?不慣れな土地、不慣れな台所で美味しいって言われる料理作れてた!」

「別に美味いっつってねぇって言ってんだろ!」

「ねえねえ琥珀くん、私いつでもお嫁入り行けちゃうね!」

「俺を巻き込むのはやめてください。」

「ババアなんだから貰い手ねえだろ。」

「ねえ何ですぐババアって言うの。」

「…なまえ、話、進まないから、黙って…」


ごめん、謝り口をつぐむとススス、と隣に来た蛮骨にソッと肩に手を置かれ微笑まれた。性格悪いけど顔だけはいいから妙に腹が立つ。
私が黙った事により神無が静かに鏡を蛮骨に見せる。

その鏡にはある二人の後ろ姿が映し出されており、山寺に連れ去られた子だと瞬時に気付く。隣にいるファーを付けた人は、確か、ああそうだ、彼は私がこちらに来てすぐの時、妖怪に襲われている所を助けてくれた人だ。山寺ではこの人が連れていた女の子が誘拐されたのか。だから、見覚えがあったのだ。


「ああ?こいつ…間違いねぇっ。霧骨を殺したやつだぜ。」


鏡をジッと覗き込む蛇骨が拗ねたように口を尖らせ眉間にしわを寄せ、そう蛮骨に言いつける。


「犬夜叉の兄…殺生丸です。これも追って殺せと…」

「え、そうなの?お兄さんだったの?私この人に以前命助けて貰ったんだけど」

「…なまえはよくそこら辺の奴に助けられるんだな…で、それで?おい、そんなこと言うために、わざわざ呼び戻したってのか!?犬夜叉と闘ってる最中によっ。」


余程、犬夜叉との闘いが楽しかったのだろう。蛮骨はたったそれだけの為に呼び戻された事に琥珀くんの胸元を掴み上げ詰め寄る。
それにしても私の命を助けてくれた人はみんな奈落の敵とかなんてミラクルなんだろう。命の恩人を殺されるなんて気味のいいものではない、何とかして阻止したいが七人隊は奈落側だから無理なのは分かっている。

どうしたものかと悩んでいる間にも神無たちの会話は進み、蛮骨の蛮竜という大きな鉾を強化する為に煉骨がかごめちゃんから奪ったという四魂のかけらを入れ込んでいた。


「ところで、なまえは今後は俺と行動すんだろ?」

「ううん、これから行くところあるから一緒には行けないよ。」

「あ?戻ってくるっつってただろ」

「今一回戻ったじゃん。」

「怒るぞ。」

「既に怒ってんじゃん」

「俺は滅多に怒らねえよ」

「…そういうなら私の頭鷲掴みしてる手を離してくれる?」


みしぃ、と私の頭をガッチリとホールドしてる蛮骨の手を引っぺがして文句を垂れるが再び頭を掴みかかろうとするのを琥珀の「蛮骨さま」という一言でその行為はすぐに辞められ、琥珀くんのヒエラルキーの位置が確実に私よりも上にあることが確認された瞬間だった。

ピリッとした空気が流れ、蛇骨と睡骨は殺生丸を倒す事になり蛇骨が犬夜叉と闘いたいと駄々をこねるけれど蛮骨に突っぱねられ渋々この場を後にした。
その時こちらをジロリと睨まれ「蛮骨の大兄貴に変なことすんなよ!」と軽く肩をど突かれたので「お守り頑張るね」と笑うと「生意気〜」と今度はガチで鳩尾に拳がクリーンヒットし、その場で膝から崩れ落ちる。

なんて野郎だ。

あまりの痛さにお腹を抱えていると煉骨と目があった。
確実に可哀相な奴を見る目をしていて彼となら仲良くなれると思っていたけれどこれはもう駄目そうだ。


「よし、なまえ。俺たちも行くぞ。」

「この状況で立たせようとする所がもう無慈悲だし、行かなきゃならない所があるってさっき言ったのもう忘れたの?」

「おい琥珀。こいつもう要らねえだろ?」

「…出来たらお返し頂けると。」

「…蛮骨、今回は、すぐ戻る…大丈夫…」


幼い子供が諭されるようなこの情景に、あれ、これ立場逆じゃない?って人だけ思ったのは内緒。
ちゃんと返せよ、と琥珀くんと神無に呟き、私に向き直り未だ不貞腐れた表情から少し照れた表情に変わり彼は言った。


「絶対落ち合えよ。」