02
「今日から仲間になったナマエだ、戦闘員ではないけどみんな仲良くするように!」
「ナマエです、お手柔らかにどうぞ」
ラカムが意識を取り戻した後、食堂に集まっている団員たちに自己紹介をする。グランの戦闘員ではないという言葉に眉を顰める者もいたが、ほとんどの団員は笑顔で頷いてくれた。
そのまま解散になったのでローアイン達が作ってくれたパスタを頂いてから、改めてラカムに謝りに行こうと操舵室を目指す。のだが。
(しまった、迷子だ)
グランサイファーってこんなに広いのか。そんな描写今まであったか。そういえば操舵室どころか上層への行き方が分からないじゃないか。ああ、とりあえず自室になんとか戻ってから後でグランに艦内図をもらおう、そうしよう。
「はぁ、どこだここ」
「迷ったのか」
「うわっ、!」
肩がビクリと震える。気配なんてなかったのに、と後ろを振り向けば今まで画面越しでは見慣れた赤いトサカ。そう炎帝様である。
「そんなに驚かなくてもいいだろう」
怪訝そうな顔をしたパーシヴァルにすみませんと返せば溜息をつかせてしまった。
「どこへ行きたい」
「とりあえず、一旦自室へ、……」
言いかけたが、パーシヴァルの眉間の皺がどんどんと深くなるものだから言葉に詰まる。一体なんだってこの炎帝様はこんなにご機嫌が優れないのか、どうしたものか。
そして、はたと気づいた。もしかしてもしかしなくてもこの炎帝様は私を目的地まで送ってくれようとしてくださっているのでは、そうだ。それだ。
「あの、今一度ラカムに謝りたくて、操舵室へですね、」
「フン、こっちだ」
あ、機嫌がスルッと良くなった。なるほど、やはり親切にしてくれようとしてたらしい。
スタスタと歩き出すパーシヴァルの後を自分のペースで付いていけば、時々立ち止まって私を待ってからまた進み出す。なんだ炎帝様めちゃくちゃいい奴じゃないか、と頬が緩む。
「なにを気持ち悪い顔をしている」
「パー様、優しいんだね」
「勝手に変な呼び方をするな」
パーシヴァルは優しい顔でまた進み出す。
もうすぐ操舵室へ着くらしい。
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パー様絶対新入りに優しい
20190425 お肉