04



やっぱり迷った。迷ったんだなヴェイン。

楽しそうに私の手を引いてズンズンと進んでいくヴェイン、反比例するように薄暗くなっていく景色。推測するに倉庫だとかそういったフロアなんだと思う。節電しているのか暗く、また人の出入りが少ないのか少し埃っぽい印象だ。


「ヴェイン、道間違えてない?」


ここに来るまでも何度も投げかけた質問。その度にそうか?ハハハ!と返される。大丈夫かこれ。流石にこんな奥まで来たら他の団員にも見つけてもらえなそう。

絶望しそうになったがどうやら行き止まりのようだった。突き当たりには他の部屋と違い少し大きい両開きの扉がある。
なんとなく、開けてみたい気持ちになる。


「あんれ?行き止まりか、ナマエちゃん引き返すぞー!……ってあれ、ここ気になる感じ?」

「うん、ちょっと探検してみたい」

「うっし、オッケー!オープン!」


ヴェインが勢いよく扉を開ける。
と、そこは。



「わぁ……!すご……」


天井まで続く本棚と、そこをギッシリと埋める本たち。古い紙とインクの匂い、所々に置かれたランタンはぼんやりと積み上げられた本を照らしていて、なんというかもう、雰囲気が最高だった。


「うげ、なんだかジメッとしてんなー」

「騒がしいな、少し静かに……、おや君は」


ヴェインが苦そうな顔で愚痴を零していたら本棚の間からニュッと人影が現れた。おお、このピンク髪にエロボイス、まごう事なきユリウスだ。


「うるさくしてすみません」

「ナマエ殿、だったかな。異世界からきたとのことだが……なるほど、実に興味深い」


頭の天辺から爪先までゆっくりと視線を這わせて、うっとりとこちらを見つめる。少し怖いけど恐らくは"異世界人"への探究心だろうから致し方ない。


「ナマエちゃん、とっとと出ようぜ」


このしっとりとした空気に息ができないとでも言うように私の手を引くヴェイン。このまま出て行ってもいいのだが、さすがにそろそろ歩き疲れたしユリウスに正しい道を聞いてから帰りたい。
グイグイと引っ張るヴェインを小声でちょっと待ってと制す。


「ねえユリウス、私達迷子で、自室への道順が知りたいのだけれど……」

「ふむ、ならば此方へ。簡単な地図を描こう」


ヴェインはこの陰鬱な図書室が気に入らないのか入り口で待つと歩いて行ってしまったので、私は一人ユリウスの後ろを着いて行く。


「異世界人殿とゆっくり話がしたかったが、またの機会になりそうだね」

「ユリウスはいつもここに?」


乱雑に積まれたパピルス紙を一枚取って羽ペンでスラスラと地図を書き込みながら会話する。どうやらユリウスは寝るか食事する以外はほとんどここにいるようだった。他にカリオストロやアルタイルなんかも訪れるようだが、それもたまにだそうで、実質的にユリウスが図書室の主らしい。


「さあ、これで無事帰れるだろう」

「わ、とても分かりやすいよ!ありがとう!」


描いてもらった地図は大変わかりやすく、少なくとも図書室までならいつでも迷わず行き来ができそうだ。
異世界人に興味があるそうだし、私の知らないお空の事も勉強したいしたまにここへ来てユリウスとお茶しよう、そうしよう。


入り口の扉を開けて待っているヴェインへお待たせ、と駆け出そうとした、が。不意に二の腕を引かれバランスを取れなくなった私をユリウスがふわりと抱きとめる。
ありがとう、とお礼を言っても抱きしめられたまま動かない。ヴェインは明らさまに嫌そうな顔をした。


「ユリウス、どうしたの?」

「いいえ。今度は是非二人きりで」


そんな事をエロボイスで耳元に囁かれるとなんだか変な気分だ。しかも二人きりで、なんてわざと勘違いしてしまいそうになることを言うもんだから、この室長殿、どうしてくれよう。
抱きしめられていた腕が緩んだので今度こそヴェインへ向かって駆け出した。


「ヴェイン、お待たせ」

「変な事されてないな?!」


ペタペタと私を触って一頻り確認をしたら、んじゃ行くか!と手を取られる。今度こそ迷わないように、地図を見ながら二人で帰った。



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木内さん声エロすぎ問題
20190505 お肉