05


「やっぱり、夢じゃないんだ……」


あの後自室へ戻りヴェインと別れてから、する事もなくなったのでうとうとしていたらどうやらそのまま寝てしまっていたらしい。起きても景色は変わらず、騎空艇の心地よい揺れと非現実感に目眩がした。

外はすっかり暗くなっており、そろそろご飯でも食べようと食堂を目指していると前方にプラチナブロンドの元役者。
足音に気がついたのかゆっくりとこちらへ振り向いた。


「おや?」

「こんばんは」


軽く会釈をすればアルカイックスマイルでこんばんはと返してくれた。ルシオだ。ピョコ、と生えたちいさな羽根が可愛らしい。


「ナマエ様も食堂へ?」

「ヒェッ、様付けとかやめてください」


ナチュラルに様付けされてすごくむず痒い。ビィ以外にも様を付けたりなんてするのか。やめてと言ってもいい笑顔で首を振られたので諦めて、そのままルシオに並んで歩き出す。


「ルシオは異世界についてどう思う?」


聞いても帰れる訳ではないけれど、なんとなく彼なら何か知っているかもしれないし、手持ち無沙汰で聞いてみる。


「ナマエ様が生まれた場所ならば、きっとすごく素敵な場所なのでしょう」

「想像してたのと違う答えだ」


でもなんだかルシオらしくてフフ、と笑えばルシオもフフフ、と笑い返してきた。

食堂もほど近くなりガヤガヤとし始める。ここに来るまで穏やかな空気でいれたのはルシオのお陰だ。小声でありがとうね、と言うと聞こえているのかいないのか、こっちを向いて微笑んだ。


「ルシオに、ナマエも!」

「ナマエさん達も一緒に食べましょう!」


食事へ入るや否やグランとルリアに声をかけられたのでそのまま4人で食事を始める。ビィはカタリナに捕まっているようで、それを聞いたルシオは小さく肩を落とした。

食事をつつきながら今日の出来事をグラン達へ報告して、私のお手伝いの話になる。


「それで私なりに色々考えてみたんだけど、清掃員、なんてどうかな?」

「確かにうちの団は料理に偏ってるからな」

「でもでもっ、グランサイファーはとーっても広いから大変です!」

「何か良いお考えが?」


ほとんどの団員は種族ごとの大部屋で生活しているわけだし、部屋の広さもそこまで極端ではない。一人部屋を使っている団員はかなり少なく、曜日ごとに種族の割り当てをして、プラス一人部屋を割り当てても完全週休二日だ。最高だ。

そう説明すればグラン達も納得し、とりあえず明日は1日休んで居住区の地理を覚えるなどすることにした。グランも団員達に清掃員としてお手伝いすることを周知してくれるようで、仕事とはいえこの世界での居場所を作れたことにホッとする。



***



食事を終え、外の空気を吸いたいからと一人で甲板へ出た。
空を仰げば満点の星空。見知った星座は一つもなくて、ああやっぱりと不安が募る。それでも目の前でキラキラと輝く星々が、まるで私を励ましてくれているかのようで、大きく深呼吸をしてから再び空を仰いだ。


「綺麗」

「ああ、本当に」


驚きすぎて声が出なかった。足音も気配も何もかもなかった。いつの間に隣に人が、と視線を向ける。この世界へ来て多分一番驚いた。
紅い、瞳。


「嫌な匂いがするかと来てみたら、これはこれは」

「なんで、いるの?」


今日二度目の目眩がした。




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ロイヤル部屋とか組織部屋とかも出したい
20190505 お肉