06



「胸騒ぎがすると思えば……今すぐ彼女から離れろ!」

「つれないこと言うなよ、なぁ?」


部屋へ戻ったはずのグランが甲板へ出てきて、剣を片手に駆け寄ろうとすれば紅い瞳の持ち主が私の腰をグイと引き寄せる。顔が近い。息も荒い。


「ベリアル」

「俺のことも知っているとは光栄だね」


ベリアル。
何故彼がここにいるのか、時間軸はどうなっている、ベリアルとグランの関係は、こんな気軽にグランサイファーに来ちゃう間柄なのか、グルグルと考えが頭を駆け巡る。

グランはああもう!と未だ剣を構えたまま、今日は何しにきたのさ、とベリアルへ問う。
剣を降ろさないところを見るに、普通に殺り合う仲っぽい。今日は、と言っているし多分頻繁に来てるのだろう。


「甘ったるい匂いがこっちまで漂ってきてね」

「匂い?」

「そう、こことは違う遠く離れた世界の匂い、だろ?この強烈な匂いのせいで勃起が収まらない。君がどうにかしてくれるかい?」


腰を引き寄せられているせいで、ベリアルの勃起が嘘でないのが分かるのがすごく嫌だ。思い切り顔に出ているのかグランが早く離せ変態!と叫ぶ。
画面越しではあるものの元の世界で一通り彼の変態的言動に触れているせいか、然程の衝撃はない。しかしその変態的言動が自分へ向けられていると思うと背筋がゾクリとする。


「きもちわるい……」

「いいねぇ!今日は言葉責めの気分か?」


あ、と思った時には既に遅く、眉を歪ませ恍惚とした目で唇からだらしなく舌先を出した。生で見ると凄い顔だな、なんて他人事のように考えてから、思い切り蹴り上げた。

蹴った本人からは何故かアッと甘い声が、見ていたグランからはヒッと怯えた声が聞こえる。グランは顔を青くしたまま震えた声で早く戻って寝ようと私に促した。


「はっ、今ので、2回は、達した、……」


足元で転がってるソレはビクビクと痙攣しながら息を荒げ悦んでいる。目がイッている。なんだこれ本気のやつじゃん、気持ち悪い。

ベリアルのピンクな声に耐えられなくなりグランを追いかけそのまま甲板を後にした。


「はぁ、……放置プレイも嫌いじゃないぜ?」




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気持ち悪いところが好き
20190509 お肉