09
”火拳のエース”収容フロアーー
「……ハンニャバル……」
「マゼラン、それに青雉と黄猿までいるぜ何事だ」
「海軍大将が二人もなぜインペルダウンにいるんだ?」
エースとは別の檻に入れられた囚人のいかにも怖そうな顔の人達が私たちの方を見る。そりゃクザンや黄猿さんがくれば何事だとなるのも仕方のないことだと思う。けど!そんなぎょろぎょろした怖い目で見ないでくれ、本当ビビリなんだよなぁ私!!
「あのチビはなんだ?」
「青雉か黄猿のガキか?」
ギャーー!私のことなんか言ってる!見られてるぅ!!
「口を慎め貴様ら!!このお方に無礼を働けばおれの権限を持って即刻貴様らを処刑する」
「署長なんて処刑されちまえ!あ、野心が出ちゃった!」
野心で片付けられることなのかいまの発言!マゼランさんが上司だったから良かったものの普通だったらそんなこと言ったら通用しないぞ!
「さァエレナ宮、火拳のエースはこちらです」
「はい」
ついにエースとの対面の時だ。意を決して檻の中を見た時だった。
ガン!!!
ボコ!!
ピチャッと私の頬に飛び散ってきた何かに恐る恐る触れるとそれは赤い色をした血だった。驚いてエースがいるという檻の中を見ると大きな牛の怪物のようなものに金棒で拷問をされているエースの姿が視界に映る。瞬間、頭が追いつかなかった。
今までマリージョアという箱庭の中で育てられたあまちゃんな私には想像もできない現実に言葉を失った。
「おいおい世界貴族が囚人に会いにきてるってのにこりゃねェだろう」
「これは度重なる失礼、本当に申し訳ない」
マゼランさんはギィイ…と檻の扉を開けると怪物を表に出し、牛の姿をした怪物はどこかへ消えて行った。
私の頬に飛び散ってきた血はきっとエースが拷問されて出た血だろう。そう思うと胸が張り裂けそうな気分だった。海賊王の息子だからって、なぜエースがこんな待遇を受けなければならないのか。海賊が悪で海軍が正義だなんて誰が決めたのか。
「特別面会だぞ……エース!!誰が来たと思う…?この世で最も気高い血族と称される世界貴族、”天竜人”であらせられるぞ!!ヒューヒュー!!」
「……!!」
檻の中で拘束されているエースと目があった。人を睨み殺せるくらいの目力で睨まれ思わず怯みそうになるがそんな事よりも何よりも、これでエースを救えるという事の方が嬉しくて泣きそうになるのを堪える。エースの方が泣きたいほど辛いんだ、私がここで泣いてどうする!
「天竜人がおれに何の用だ……」
エースが私にそう問いかける。答えなくては。あなたを助けに来たって、これでもう自由だよって。でもこの場でそんなふざけたことは言えない。あくまでも天竜人の”奴隷”として彼をこの地獄から助け出すのだから。