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「あなた、わたくしの奴隷になりなさい!」

ビシッ!と腰に手を当てエースを指差しポーズを決める。
突然奴隷になれと言った私にエースは、はぁ?とでも言いたげな雰囲気で眉を顰める。
うああ!!そんな顔してもかっこいい!イケメンとはなんて罪な生き物なのだろうか…

「ストレートすぎていっそ清々しいな」

「こういう時はまどろっこしいことなしにストレートに言う方が話が早いんですのよ」

クザンにそう言われて私はなんとかポーカーフェイスを保った。うん、完全に言うセリフ間違えた!もっと、ふぅん?あなたが火拳のエースね、私の奴隷にしてあげてもよろしくってよ?とか可哀想に、わたくしの奴隷にして差し上げますわとか色々あったのに!

頭の中でシュミレーションしてたのにテンパって普通に言っちゃった!

「おい、悪ィがおれは冗談に付き合ってるほどヒマじゃねェんだ」

「貴様!誰に向かってそんな口を聞いているエース!!この場で処刑してやってもいいんだぞ」

ゴポゴポ…と見るからに毒々しい姿に変わっていくマゼランさんと血濡れのエースが睨み合う。この野郎馬鹿野郎!エースを助けに来たってのに処刑とか何考えてるんだマゼランさんめ!!

「お、おやめになって下さいまし署長!わたくし怖いですわ…」

「可愛らしい!!すぐやめます」

父上にやるみたいにすこーしぶりっ子しながら演技をすればマゼランさんは元に戻ってくれた。チョロい、チョロいぞ署長!!こんなんでインペルダウン大丈夫かおい!!

「いやー署長の面目丸潰れというかみっともないというか とにかく署長の座から降りて欲しいですな」

「お前はいつになく毒舌だなハンニャバル」

「いやそんなことないです 私は署長に心から降格して欲しいと思ってマッシュ!あ、野心が出ちゃった」

うぉおおい!!お前ら!さっきまで激シリアス的な展開だったのになんでそんなとこでギャグかましてるの!?早くエースを檻から出してよ!!

「エレナちゃんが退屈そうな顔してるよォマゼラン」

「おお!!これは失礼しました ではこれより火拳のエースを世界貴族、”天竜人”であるエレナ宮の奴隷にする手続きを致します」

ほっ…。もうすぐだ、もう少しでエースをこの地獄から救い出せる!!その場で小躍りしそうなぐらいに喜ぶ私の視界、もっと言えばエースの隣に青い何かが見えた。

……わ、忘れてたァァア!!!ジ、ジンベエの存在忘れてた!!やばい、やばいぞこれは!ジンベエは確かめちゃくちゃ善良な方の魚人。そしていずれルフィの仲間になるお方!エースだけ連れて行ってこんなところにジンベエを置いていくなんて私にはできない!!

さてどうしたものか。私は頭をフル回転させながら考えた。ジンベエを救うにはこのタイミングしかない。となると彼をエースと一緒に救い出すしか選択肢がないわけで。ーーこれよりAJD作戦を開始する!名付けてエースAと一緒にジンベエJ奴隷Dにしてしまおう作戦だ!!

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