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「…っ!!」
「…っ(エースをこれ以上傷つけさせてたまるか!!)」
エースには傷一つつけさせない!という意を込めてギュゥウと彼に抱きつく。うわ、こんなに身体が冷えてる…。能力も使えない今とはなっては寒かっただろうに!エースが私の行動に目を大きく開く様子を他人事のように見つめる。
突然の事で対処しきれなかったハンニャバルの三叉槍が段々と近づいてくる気配がしたが私はその場を動かなかった。
ピキーン!!
「はっ!!」
「はァ〜ったく本当お転婆な天竜人だなエレナちゃん どんだけおれをヒヤヒヤさせたいわけ?」
ハンニャバルの三叉槍が氷漬けにされてその場で動きを止めた。クザンが助けてくれたんだ!くぅう、乙女の危機を救うだなんてやりおるなお主!!しかもヒヤヒヤとか自分で言っちゃうあたり狙ってるのか!?
「クザン!助けてくださったの?」
「そりゃエレナちゃんに何かあればここにいる全員打ち首だからね」
「そ、そうですわよね」
そうだ、何を舞い上がってるんだ。天竜人の私を本当に心配して助けてくれる人なんて、いくらクザンでもないに決まってるじゃないか。
「あ〜いや、それにおれもエレナちゃんが傷つくのは嫌っつーかね、まァそんな感じよ」
「ほ、本当!?」
「そんな事嘘ついてどうするのよ」
「これはおめェさんロリコンに目覚めるのも時間の問題だねェ〜わっしは知らねェよォ」
「おれがロリコンに目覚めたらあんたも連帯責任って上に伝えとくわ」
「巻き込むのはやめてほしいねェ」
こ、こやつら!なんでこの場にいる人たちはみんなコントをしたがるかなぁ!ここインペルダウンだよ!?遊園地とかお笑い会場じゃないんだよ!?
「申し訳ないエレナ宮!!!私が付いていながら危険な目に合わせてしまった!ハンニャバル!!」
「申し訳ありません天竜人殿!!この通りですから降格だけはやめて下さい、お願いしマッシュ!!」
「いいんですのよ 結果的にクザンが助けてくださったんですもの 」
「なんと慈悲深い!惚れた!!」
「ほ…っ!?」
ほ、惚れた!?私に惚れただと!?なにを言っているんだマゼランさん!私はあの最低最悪な天竜人なんだぞ、〜アマスとか〜だえとかふざけた語尾の一族なんだぞ!
「それよりエレナちゃんさ、いつまでそうしてる気?」
「…へ?」
私に惚れたとかなんとか抜かすマゼランさんを正気かこいつ!と一人で驚いているとクザンにそう言われて何のことだと思い今の自分の体制を改めて見直してみる。
忘れてた、私ハンニャバルからエースを守ろうとしてエースに抱きついてたんだ…!しかもエースの頭を抱え込んで思いっきり抱きしめちゃってるし!きゃああ、どさくさに紛れて私ったらちゃっかりエースと抱き合ってる!ガッチリしてる、エースが上半身裸な分鍛え上げられた身体がモロに私の視界に映る。
顔が一気に熱を持つ。きっと私の顔はタコも顔負けなほどに真っ赤だろう。そんなことを考えていた矢先、私の服で顔が見えなかったエースと目があった。……今天に召されても悔いはない。