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「……」

「……」

「……」

くぅううう!!辛い!何だこの沈黙は!!黙られるぐらいなら「お前なんかと話したくねェんだよ消えろブス!」とか「調子に乗んなメスガキが!」ぐらい言ってくれた方がまだマシだ。どうしよう、何か言わなければ。もうなんとでもなれ!と私は口を開いた。

「怪我は…お怪我は大丈夫なんですの?」

「……」

な、なぜ答えない!!!うぉおおん、やっぱりエースは私のことが嫌いなんだ、喋りたくもないぐらい私の事がうざったくてしょうがないんだ!
好きなキャラに嫌われることがこれほどまでに辛いことだなんて私知らなかった!
悲しくて、視界がぼやけそうになった時だった。

「これぐらい大したことねェよ」

「……!!」

答えてくれた…!感激!こんな得体も知れない、自分を奴隷にしに来たクソガキの質問に答えてくれたよエースが!

「な、ななならよかったですわ!あの牛みたいなのにやられてて心配してましたの」

「あんなのいつものことだ もう慣れた」

「…っ!」

エースの言葉を聞いて、ショックだった。嘘だ、あんな残虐極まりない拷問いくらやられてたからって慣れるはずない。エースは慣れたと言うけど、それは慣れたと錯覚する程生きることに希望をなくしたからなんじゃないだろうか。

もしそうなら私はエースに何をしてあげられるだろうか?お金を沢山渡す?贅沢をさせてやること?それとも殺された仲間の敵討ちをすること?ーー全部違う気がする。きっとエースが今一番に望んでいることは家族の元に帰ることだ。

「もう少し待っていて下さいませ」

「…」

「今すぐには無理でもわたくし、きっと貴方を”家族”の元へ返して差し上げるわ」

エースが目を見開く。私の言いたいことを理解したのか最初に会った時とは違い、それは嫌悪の表情ではなく驚きに変わっていた。ジンベエもタイミングが合えば解放してあげなければ。きっと彼にもやるべきことがあるだろう。

それっきりエースはもう何も言わなかった。拘束されたままではあるがエースは椅子に座りながら空を見上げていた。
それを見て私も正義の門が開くのを見ながら物思いにふけった。


ん?正義の門が目の前にあるということは、私はいつの間に船に乗っていたんだ!?あれ、マゼランさんとかハンニャバルにバイバイしてない気がするのだが。

「クザン、いつの間にインペルダウンから出航してたのかしら…?」

「インペルダウンから出航して割と経つけど…マゼランがエレナちゃんに何か言ってるのにも答えなかったしもしかして気づいてなかったか」

なにぃ!?そんなの知らないぞ!マゼランさんが私になんか言ってたのなんてこれっぽっちも耳に入って来てないよ!ごめんマゼランさん無視しちゃって!!

しかし一体私はどれだけエースと話すのに時間をかけていたのだろうか。私はイケメンと話すと時間の消費が早いということを学んだ。

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