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「エースもジンベエちゃんも立ってないで座って下さいまし」

「わかった」

「そんな事よりお前 さっき船で言ってたのはどう言う意味だ」

座る前にエースが私を真剣な顔つきで見つめてそう言った。まず座ってくれ!話すから座ってくれ私も座りたいんだ。ジンベエが座ろうとしたけど空気を読んで変な体勢になってるじゃないか!ジンベエめ、きょとんとした顔すな!可愛いんだよ!

それよりさっき船で言ってたのって家族の元へ返しあげるってやつだよね?もしや伝わってなかったのか。エースにとってまだ私はあの傲慢で低俗な天竜人というレッテルを貼られているのか!?

「そのままの意味ですわ。流石に今は無理ですけど、条件が揃えば貴方を自由にしてあげることができます」

「おれを自由にね…天竜人がなぜおれにそこまでする」

「そ、それは」

どうしよう!!クザンに聞かれた時と本人に聞かれた時とじゃ話がまるで違うぞ!二人が可愛かったからなんて言っていい雰囲気じゃないし言えない。それに本当の事なんて絶対に言えない。

あのままインペルダウンにいれば頂上戦争の時に赤犬に内臓焼かれて死んじゃうんだよなんて口が裂けても言えない。

「直感…直感ですわ!ほら、直感が身体を動かす時ってあるでしょう?」

「……」

ジーッと疑いの目でみてくるエースに私はダラダラと冷や汗を流した。目がキョロキョロと忙しなく動く。まるで立場が逆転している!!おかしいな、一応私は彼らの主のはずなんだが。

「まァ過ぎたことはええじゃないかエースさん」

「ジンベエ」

「わしも直感じゃがこの子は嘘は言うておらんと思う」

ジンベエェエエエ!!君ってばなんていい子なの?感激で涙が溢れて私、前が見えない!私のどこをどう信用してくれたのかはわからないけど信用されると言うことがこんなにも嬉しいだなんて。もう一生ついて行きます親分!!

「何を根拠に、!?おい、なんで泣いてんだよ」

「な、泣いていませんわ!これはその…そう、鼻水!鼻水でしてよ」

「それを鼻水というには少し無理があると思うんじゃが」

「目から鼻水出せる女なんて見たことねェよ」

「わたくしは天竜人だから目から鼻水が出せるんですのよ」

嬉しすぎて本当に涙が出ていた。それを見てビックリした顔のエースがちょっと慌てるというかそわそわしていて意外だった。
取り敢えず泣いてるなんてバレればこれだからクソガキは…とか言われそうで必死に鼻水だと弁解した。私は天竜人ならいつか目から鼻水ぐらい出せるんじゃないかと思っている。そんな涙まみれの私の顔を見てエースが言った。

「お前おれの弟に似てんな」

「…!」

まさか!!弟とはもしかしてもしかしなくてもルフィの事か!そんな恐れ多い!一体私のどの辺がルフィに似ているのだろうか。

「弟さんがいらっしゃるのですね どの辺がわたくしに似ているんですの?」

「すぐ泣くところだ」

なにぃ!?すぐ泣くところだと!私はエースの前でまだ一回しか泣いた事ないぞ!?ていうかこれは嬉し泣きだからまた訳が違うぞ!

「あいつがお前ぐらいの時はすぐ泣いてたからな 懐かしいなァ」

ほんの少し顔に笑顔を浮かべてルフィを思い出すエース。きゅううん!かっこいい!私にもこんなお兄様が欲しかった!!

さっきまでギスギスした雰囲気だったのに私の鼻水事件のおかげか少し空気が和らいだぞ、この調子よエレナ!ファイティン!!

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