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エースが食事中に突然眠り出してから3日が経った。まぁ疲れてるんだろうけど、そろそろ起きてもいい頃じゃないだろうか。ぐがーといびきは凄いから死んではないがこうも立て続けに寝られると少し心配になって来る。貴様は眠り姫ならず眠りの国の王子様か!?

「エースさんはまだ寝とるのか」

「少し心配になってきましたわ どうしましょうジンベエちゃん、お医者様を」

「安心せい たったこれしきのことで医者にかかるような男じゃありゃせん」

「だといいのですけど」

そうだとしても私は心配なのだ。それもそのはず、私は未だかつて三日間も眠りこけて起きない人物を見たことがないからだ。そりゃエースが頑丈なのは知ってるけどインペルダウンでだいぶ体力を消耗してたから体が弱ってしまっているんじゃないか…このまま眠れる国の王子様になってしまうのではないかと不安なのだ。

そしてなんとも強靭な身体の持ち主ジンベエはすこぶる元気である。貴方は本当にインペルダウンに収容されていたんですかと疑いたくなるレベルだ。

そんなジンベエの両腕には銀色の手枷がついていた。鎖で繋がれていないため、自由に手足を動かせる。まるで腕にブレスレットをつけてるようだ。
父上が早急に作成願いを出して作られた手枷は私から一定の距離を離れると大将から何から海軍の戦力が総出で出陣して彼らを追うような仕組みになっている。その為エースとジンベエがどこにいるかは全部筒抜けになってしまう。

もっとも私から一定の距離を離れなければ警報が作動することもなく居場所も特定されないのだが。

「3日も寝てばかりじゃ身体が気持ち悪いですわよね わたくしエースの体を拭くタオルを持って来ますわね!」

「ん?そうか?」

「ええ、きっと拭いてあげた方が質の良い睡眠ができると思うんですの そうと決まれば早速行って来ますわ!」

「わかった、エースさんはわしが見とる ゆっくり準備せい」

なんとも頼もしい顔つきでそう言ったジンベエに私は心がジーンと温かくなった。ここ数日間でだいぶ、かなりジンベエとは仲良くなった。というのもほぼほぼ二人で一緒にいる時間が長いからだ。

お父さん気質満載のジンベエといるととても安心するし何より彼はとてもキューティーなのだ。何をするにも可愛いとしか思えなくなっている私は最早末期だと思う。だが仕方ないんだ!考えても見てくれ、この前二人でおやつを食べていたらジンベエがマカロンとかチョコケーキとか…とにかくお菓子食べてるんだぞ!?可愛い以外の何者でもない!!

お主は私を萌え殺す気か!と何度声を張り上げるところだったか。

まぁ何はともあれ早いとこエースの身体を拭くものを持って来なくては。私は用意のため、無駄に広い家…というかもはや宮殿の様な我が家をちょこまかと歩き回った。

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