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「エレナー早く来てくれよ」
「今行きますわ!」
時間差でエースに先にお風呂の中へ入っててもらい、私はワンピースタイプのフリルがたくさん付いた水着を着用してお風呂の扉に手をかけた。
もわもわと湯気の立つ浴室の中にエースは立っていた。
お互い水着を着ているとはいえ何という破廉恥なシュチュエーションなんだ!
「お湯加減はいかがかしら、エース」
「おう ちょうどいいぜ」
「ならよかったですわ。じゃあ早速頭を洗いますからそこの椅子に……!!」
ど、どういうことだ!なんでエースは水着を履いてないんだ!?私はしっかり手渡したはずだ。なぜ…!?
幸い腰にタオルが巻かれているものの、水着より遥かに布面積の少ないタオルなどあってないようなものだ!くぅうっ…この男、あなどれん!
「エ、エース?なぜ水着を着ていないのかしら」
「だってよ、別に水着なんて着なくたってこれで十分だろ?」
”これ”と言って腰に巻いたタオルをピラッと私に見せつけるエースに再び鼻血が出そうになるのをなんとか堪える。くそう貴様!!何たる卑怯な色仕掛け!だがここで私が狼狽えていてはなんだか負けた気がする。
「そ、そうなんですの。じゃあ頭を洗いますからそこの椅子に座って下さいまし」
「おう。そうだ、言い忘れるとこだった」
「?何ですの」
「お前あの変な服着てるより今のそれの方が似合ってると思うぜ」
「……わ、わたくしのことですか?」
「お前以外誰がいんだよ 変なやつだな」
「変なやつとは何ですの!酷いですわ、エースったら。もう一人で入って下さいまし」
「はははっ ワリィ、謝るから許してくれよ。な?」
「…うっ!!」
カンカンカン!!と私の頭の中で勝利のゴングが鳴り響いた。む、無理だ!私の水着を指差して”それの方が似合ってる”なんて言われた時からやばかったけどいつまでもエースにときめく私ではないんだぞ!という意味を込めて会話を続けていたが…!!
この男め、さては私を試しているのか?出血多量で私を殺したいんだろ?ん?
お風呂場から出ようとする私の手を後ろからガシッと掴んで、私の目線に合わせて謝罪の言葉を口にするパンイチならずタオル一枚のエース。そして最後の”な?”で私はノックアウトである。
「そういうとこがガキみてェなんだよな」
「それを言うならエースだってそうですわ!」
「男はいいんだよ。お前は女だし今はいいけど大人になってもそれだったら好きな男に振り向いてもらえねェぞ?」
「……」
「でもおれはお前のガキみてェなとこ結構……エレナ?」
「…どうせ私はガキでチビで一生結婚できない可哀想な女ですわよ」
この身体になって精神年齢も一緒に幼くなってしまったみたいで、こんな冗談でも勝手に涙が出てくる自分に驚いた。私が泣いているのをみて驚いた顔をしたエースが私の肩を掴んでお風呂の椅子に座らせる。まぁそりゃこんなことだけで泣かれたら驚くわな。
「泣くなよ、冗談だって。お前はいい女になる おれが保証してやる!」
「いいんですのよ、自分でも天竜人の私が幸せな結婚ができるなんて思ってもないですし」
「そんなことねェよ お前いいやつだし。あーーもしお前が仮に結婚できなかったらおれがもらってやるよ」
……?????おれがもらってやるよとは…?は、話の流れを探るにもしや…私をエースのお嫁さんにしてくれると言ったのか?え??
「エース?今なんて…」
「だからもし誰とも結婚できなかったらおれがもらってやるから泣くなよ」
ま・じ・か!!!え?私将来ポートガス・D・エレナになれるの!?え!?待って嬉しすぎて心臓がッ!!
嬉しすぎて私は足元に石鹸が転がってるのに気付かず、立とうとした拍子にそれを踏んですっ転んだ。