02
 
うっかり転生しちゃったぜ事件からかれこれ10年の月日が経った。私はまぁそれなりに元気にやっている。

そして驚く事に、ここは前の世界で超がつくほど有名だったあのONE PIECEの世界だった。それを知った時は驚きのあまり白目を剥いて倒れて、父上と母上は泣きながら一日中私のそばにくっついていたらしい。

そして私の身分はというと、あの憎き天竜人らしいのだ。なぜだ!なぜ私は天竜人なんだ!?どうせ生まれ変わるならもっと主要キャラと笑いあり涙ありの絆で結ばれた感じになりたかった!!

本当になぜ天竜人に生まれてしまったのか。前世悪いことしてないはずなんだけれども。そして極め付けは父上のこの一言だった。

「可愛いエレナには奴隷を買ってやるえ」

奴隷!?そんな物騒な!いらん!と父上に言うと最初はだけど、でも、と渋っていたが最後に上目遣いで目に涙を溜めてやったら秒殺だった。父上まじちょろい説濃厚。

でもそれでは退屈なんじゃないかと母上に心配された。確かに退屈だ。物凄く。同年代の天竜人もいたがまるで話にならない。奴隷を拷問して遊んだり自分の機嫌が悪いと奴隷に八つ当たりをして見られたものじゃない。それを見て本当に血が通っているかと私はその時怖くなった。

つまり結論を言うと、私はとても退屈なんだ。ああ、一度でいいから海に出て本物の海賊に会って見たい。あ、本物の海賊っていうのは勿論シャンクスとか白ひげとかルフィとかそこら辺の善良な方の海賊ね。ここ重要!

そういえば私は何か重要なことを忘れていないだろうか。ふとそんな考えが脳裏をよぎる。だがどうせ私の思い過ごしだろうとそこで考えるのをやめた。

「母上様!」

「あらエレナちゃん どうしたのアマス?」

「おお、わちきの可愛い可愛いエレナ!今日も世界一可愛いえ」

うわ、父上もいたのか。まぁどうでもいいか。

「わたくし、マカロン食べたいですわ」

「そんなこともあろうかとエレナちゃんの為にとっておきがあるアマス」

「本当ですの!?」

なんと用意のいい母親だろうか。私の大好物であるマカロンを用意しているとは流石だ。性格はいいとは言えないが美人だし本当に私を愛してくれている。父上もブサイクだけど私のことが大好きみたいだし、親には好かれている自信がある。

「三人で紅茶を飲みながら話でもするえ。おいお前、紅茶を用意するえ!」

父上はそばにいたお付きのものにそう指示すると私の手を引いて椅子に座らせた。おいお前、じゃなくてもっと頼み方があるだろうがこのブサイクおやじめ!娘として恥ずかしいったらありゃしない。

そうこうしているうちに家族でお昼のアフタヌーンティーが幕を開けた。

back|next
back