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「ええ、助けるわ!助けるけど何か文句でもあるかしら」
もうここまできたら開き直るしかない!私はシャンプーのCMのようにファサァッと髪の毛を手で靡かせてガープさんに視線を合わせた。少しはこれで強く見えるよね。なんせ髪の毛ファサァッ!ってしたし。
「わっはっはっはっ!!!」
「!?」
また例のごとく笑い出したー!?
一体さっきから何だというんだ!とくに面白いことなど一つも言ってないのになにがそんなに面白い!笑いの沸点低すぎやしないか。
「やー参った!わしの負けじゃ そんなに堂々と啖呵切られちゃ止めようにもバカらしくなるわい ぶわっはっはっはっ!!!」
「え?あの、じゃあルフィを助けてもいいんですの?」
「助けるも助けないも好きにせい!ついでにわしの孫はわしが言うのも何だがいい男じゃぞ〜 そこのエースよりいい男じゃ」
「誰が誰よりいい男だって?そりゃおれの弟だからいい男なのは当たり前だけどな」
「だ、大丈夫ですわエース わたくしはエースが世界で一番いい男だって知ってますから」
「……おう」
私よりかなり上の方にあるエースの顔を見てそう告げる。最初、ポケーっとした顔のエースだったが暫くするとニッと太陽のような笑みを浮かべて私の頬を撫でた。
…ほ、ほっぺ撫でられたぁあ!!!どうしよう、私ほっぺの肉多かったかな!?こいつほっぺの肉やべェなとか思われてないかな!?
「赤髪にそそのかされてなければ今頃立派な海兵になってたはずなんじゃがなァ」
「なっちまったモンをグチグチ言ったってしょうがねェだろ」
「何を言ってる、お前もじゃエース わしの言う通り海軍になっていれば捕まることもなかったんじゃぞ」
「おれが海軍になんてなると思うか? 海賊になったからオヤジにもみんなにも出会えたんだ 捕まるのを恐れて海賊なんてやってられるかよ」
「至極エースさんの言う通りじゃな 中途半端な覚悟じゃ身を滅ぼすだけじゃい」
「ふふっ!エースは本当に白ひげさんや家族が大切なんですのね」
「ああ それにもしおれが海賊じゃなけりゃお前にも会えてなかったもんなァ」
私を見つめながらそう言うとエースはゆっくりと私の目の前までやって来た。
何を思ったのかエースが私の両頬を大きな手で包み、どんどん顔を近づけてくる。
「〜〜っ!?」
何、いきなりどうしたの!?もしかしてまた私に鼻血を吹かせたいの!?
とそんな事を考えている余裕もなくなり目の前までエースの顔が迫る。思わずギュッと目を瞑るとコツンと私のおでことエースのおでこがぶつかった。
「エレナ、お前に出会えてよかった これからもよろしくな」
「…っこちらこそよろしくお願いしますわ」
エースがおでことおでこをくっつけながらそう言うもんだから恥ずかしくて最後の方がゴニョゴニョと小さくなってしまった。
恥ずかしくて、顔が真っ赤で目が合わせられないけどビシバシと感じるエースの視線に恐る恐る上を向くとすごく、びっくりするほど優しい目をしたエースと目があった。
私、世界貴族”天竜人”エレナはポートガス・D・エースに心臓を鷲掴みにされてしまったようだ。