35
LEVEL6に到着した。私たちはルフィが投獄されている場所へたどり着く。するといち早くルフィを見つけたエースがゆっくり檻へと近づいた。
あぁあ!生ルフィ!生のルフィだ!天竜人の私がルフィをお目にかかれる日が来るなんて思ってもみなかったから嬉しい、すごく嬉しいぞ!!いやでも待て、ルフィは既にもうチャルロスとかいう鼻水垂れ男を殴り飛ばした後なのか…!
私が同じ天竜人とバレればこれはまずいのでは…はっ!殴られたりしないよね!?
「エース!?それにじいちゃんも!なんでいるんだ?」
「それはおれのセリフだルフィ なんでここに来た」
「エースを助ける為だ!」
「そのお前が捕まってどうする!おれはお前に心配されるほど弱くねェ 二度とこんなマネはするな」
「そんなの知らねェよ!もし助けないでエースを死なせちまったらおれは一生後悔する!だからおれは何度だって助けに行く!」
「っだからってな!」
険悪な雰囲気になりそうだ。私は感情を露わにしてルフィと話すエースを呼んだ。
「エース!」
「エレナ…?」
「エース、あなたが言っている事はあんまりですわよ」
「…」
「ルフィはエース、あなたを助けたいというただその一心でここまで来たんですのよ?それなのにそんなに彼を責めるのは間違ってますわ」
「間違ってねェよ お前がいなかったらルフィはおれと道連れに処刑されてたかもしれねェんだぞ」
「かもしれないとか、まだなってもいない事をクヨクヨ考えていては何もできませんわ!確かにルフィの今回の件は無防備で無茶なものでしたけどっ!」
ルフィの気持ちを考えたら思いのほか熱くなってしまった。だってもし私がルフィの立場でも同じような事をしていたと思うから。
エースは自分なんかの為にルフィが犠牲になってしまうのが耐えられないからルフィに強く言ってるのだろうけど、私からすればエースはもっと自分を大切にするべきだ。
海賊王の息子だからって肩身の狭い思いをする必要はない。今この世で生きている全ての人に平等に生きる権利がある。
「エース、きっとあなたでも逆の立場なら何としてでもルフィを助けに来た筈ですわよ 兄が弟を助けるのは良くて弟が兄を助けるのはダメなんて、そんなバカな話はないでしょう?」
だからそんなに怒らないであげて下さいまし、と付け足して私はエースを見上げた。すると私の後ろの方からまたあの笑い声が聞こえて来た。
「ぶわぁっはっはっ!!やっぱりお嬢ちゃん面白い娘じゃのう。どうじゃ!あそこにいるのがわしの孫じゃ、嫁に来るか!?」
「ええ!?わ、わたくしにはエースがいますので…!」
エースに助け舟を出してもらおうとエースを呼ぼうと後ろを振り返るとちょうどジンベエと話をしていた。
タイミング悪い!助けろ!というかあんたら何話してんの、ガープさんがうるさくて何も聞こえん!!
「エースさん、エレナはああ言っとるが本気でエレナを娶る気か?」
「ああ 男に二言はねェ」
「そうか 相手が天竜人ともなれば一筋縄ではいかんぞ」
「おう わかってる。でもそれ以上にあいつ面白いしよ なんか目が離せねェんだ お前もそう思うだろ?」
「いや、わしは(確かに危なっかしく目が離せないというのはわかるが…)」
これで何度目かガープにルフィを勧められ、いい加減キレたのかエレナがガープのネクタイをグイッと引っ張りガープに向かって何か喋っている。それを見て「ほら、あいつのああいうところ可愛いだろ?」と指差して笑うエースにこれはダメだ、とジンベエは頭を抱えた。
危なっかしくて目が離せないのも一つ、エースはインペルダウンから助け出されたあの日からエレナという幼い少女の纏う人を惹きつける何かに引き寄せられたのではないかとジンベエは思う。
何にせよ自分たちの主人、エレナならば問題はないという判断にたどり着き、ジンベエはその光景を温かい目で見守った。