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「そういえばガープさん」
「ん?なんじゃ ルフィの嫁になる気になったか?」
「なってませんわ!ーーその、今回はどうしてクザンは来なかったんですの?」
「クザン?なんじゃ エレナちゃんは歳上が好みなんじゃな」
だから違う!何なんだこのジジイは!話の腰をことごとく折りやがって!まだあそこで私の言いつけ通りに黙っているルフィのが聞き分けのいい子だぞ。
「好みとかの話しではありませんわ。クザンが前に…また私がマリージョアから出るようなことがあれば自分が護衛につくかもしれないって言ってたのを思い出しただけですの」
「なるほど つまりなぜクザンがここにいないかを聞きたいんじゃな?」
「ええ」
「クザンの奴も隅に置けんのう 奴は今事情があって本部にいないんじゃ また例の放浪癖が出たんじゃろ」
放浪癖!?大将なのに放浪してていいの?いくらだらけきった正義だからってそれはまずいんじゃ…
「だからセンゴクも自由すぎる男だと手を焼いてるわい!ぶわっはっはっ!!」
「へ、へェ…そうなんですのね」
笑い事で済ませる様な話なのか私は不思議でならない。海軍ってこんなに緩いものなの?いくらなんでもフリーダムすぎないか?ねぇ。海の上でチャリをキコキコと漕ぐクザンが頭をよぎった。
「エース!ジンベエちゃん」
「どうした?」
「なんじゃ」
「シャボンディ諸島に着いたらわたくし行きたい場所があるんですの 着いてきてくれるかしら?」
「おう いいぞ」
「構いはせん」
「あ、もちろんルフィも一緒ですわよ?私たちお友達ですもんね!」
頷け!頷け!と念じて目を血走らせながらルフィに問い掛けるとさすがに察してくれたらしくルフィがコクコクと頷く。よし、いい子だ。やれば出来るじゃないか。さすがエースとサボの弟だ。
「じゃが少々問題がある わしらは今インペルダウンに投獄されとることになってる。堂々と民間人の行き交うシャボンディ諸島に降り立つのは厳しいものがあると思うんじゃが」
「そういやそうだったな しかもおれなんて公開処刑も言い渡されてるしな」
「わしはともかくエースさんがシャボンディ諸島にいるとバレれば収拾のつかない騒ぎになる事は目に見えてる どうするんじゃ エレナ」
確かにそうだ。失念していた。マゼランさんがすぐにエースとジンベエが私の奴隷であるということを発表するようにと海軍に掛け合ってくれたから近々発表されるのだとは思うが、今はまだ発表されていない。
私は少ない脳みそを使って考える。
「あ!いいこと考えましたわ!」
私は悪知恵だけは働くようだ。そんな私をみながらエースとジンベエが心配そうな顔をしている。
ぐふふ、そんな顔をしていられるのも今のうちだ!私の天才的な案に驚く顔が目に浮かぶ。私は早速ガープさんに声をかけてブツを用意してもらった。