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「さぁ!行きますわよ」

「本当にコレで行くのか?」

「この帽子も被らなければいかんのか?」

「サンジが着てる服とソックリだなー」

「男がグチグチ言うんじゃありませんの!ルフィを見習って下さいまし」

ガープさんに用意させたものとは黒ずくめのスーツとサングラスだった。そしてジンベエだけ特注で帽子もつけた。理由はちょんまげでバレるかもしれないからだ。

よくジンベエのサイズがあったなと思ったがここは世界貴族の特権をフル活用させてもらった。

「別にいいんだけどよ なんていうか窮屈な服だな」

そりゃ常に半裸のエースにとっちゃそうだろう。だがしかしスーツを着てサングラスを掛けたエースに私のハートははやくも撃ち抜かれてしまったようだ。

カッコ良すぎて無理。なんでこんなスーツ似合うの?きゅんきゅんしすぎて私の心臓がもはや楽器と化してる。盛大にメロディーを奏でている。

「に、似合ってますわ」

「お!ガキのクセに一丁前にお世辞なんか言いやがって」

「お世辞なんかじゃありませんわ!わっ…わたくしは本当に似合ってると思って」

言いながら恥ずかしくなってつい下を向いてしまう。うぅ、だってエースが!エースの色気がハンパないのが悪い!いつも半裸だから服を着てるのが新鮮で何かドキドキする。

「へェ、そうかよ。嬉しいこと言ってくれるじゃねェか」

「もうっ!エース!わたくしをからかわないで下さいまし!」

「わかったわかった エレナは立派なレディーだもんな」

大きな温かい手でわしゃわしゃと私の頭を撫で繰り回すエース。せっかく整えた髪が崩れてしまうではないかという考えは遠く彼方へ、スーツ姿のエースの前では考える能力が失われてしまうほど私はメロリン状態だ。

「お前本当にエースと友達なんだな!そういや名前なんだ?」

「…!ル、ルフィ何をとぼけてるんですの?私たち前から友達じゃない。あら、もしかしてど忘れってやつかしら?んもう忘れん坊さん!わたくしの名前はエレナよ!思い出したでしょう?」

次忘れたら許さないんだから〜と言ってルフィに抱きつく。そしてグイッとルフィの耳を引っ張てさっきの可愛い私を封印して悪魔な私が顔を出した。

「ルフィ?いつわたくしが喋っていいと言ったのかしら。ねェ。黙れるわよね?約束、なかったことにしてもいいんですのよ」

「ダ、ダメだ!わかった もうしゃべらない!」

「そ?じゃあ今からまたお黙り下さいね。大丈夫ですわよ、シャボンディ諸島についたら喋ってもいいですから。それまで我慢できますわよね?」

シャボンディ諸島まではあともう少しで着くはず。私が口に手を当てて黙っているルフィに問いかければよほど脅しが効いたのか再びルフィが高速で頭を縦に振った。

そして今更ながら私が天竜人ってことをルフィに言っていないことに気づいた。
果たして私が天竜人だと知ったらルフィはどんな反応をするのだろうか…少し怖い。

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