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シャボンディ諸島に着いた私達はまずシャボンディ諸島名物のグラまんを買って食べ歩きをしていた。周りに同じ天竜人がいれば食べ歩きなんてはしたないアマス!とかなんとか言われそうだが今この辺りにいる天竜人は見たところ私のみだ。

それをいい事にはむはむとグラまんにかじりついていると私の口元に手が伸びて来た。

「ったく そんな急いで食わなくても誰も取らねェからゆっくり食えよ。ん、うめェな」

エースが私の口元についたあんこを親指で掬って舐めた。…な、舐めた!?これはあの乙女なら誰しも憧れる「ふっ、可愛いな全く…ついてるぜ?」パクッ…的なシュチュエーションだよね!?

なんだかそろそろエースのイケメンさに殺されそうなんだが大丈夫だろうか、私。

「エース…もしかしてグラまんが食べたいんですの?遠慮しないで食べて下さいまし」

「はァ?別に今腹減ってねェしいいよ」

「でも私の口についたあんこを食べるほどグラまんが食べたかったんじゃ…」

「それはそれだ。なんか身体が勝手に動いちまってな 嫌だったら謝る」

「い、いいえ!全然イヤじゃなかったですわ …取ってくれてありがとうございまし」

身体が勝手に、なんて嬉しいことを言われればすぐ様有頂天になってしまった私は嬉しくて嬉しくて、ほっぺたがとろけ落ちないように頬に手を当てた。
エースといるととっても落ち着く。一緒にいると自分の人生が一段階も二段階も上に引っ張り上げられた気分になる。

「なーエレナ、もうグラまんねェのか?」

「ありますわよ ハイ、これ全部食べていいですわ 約束を守ってくれたご褒美ですの」

「本当かっ!?お前イイヤツだな〜!ありがとう!」

「だから言ったろ?エレナはイイヤツだって」

「おう!ししし!エースの友達ならおれも友達だ!」

「お前さんらもう少し静かにせい バレたら大問題じゃぞ」

「ふふふ、ジンベエちゃんは皆のお父様みたいですわね!」

「全くお前さんの周りは常に賑やかじゃな」

「だって賑やかな方が楽しいでしょう?どうせ一回きりの人生ならわたくしは楽しく過ごしたいですわ」

「確かにそうじゃな」

全てを包み込むかのような眼差しのジンベエ。と言ってもサングラスで瞳は見えないがきっとそんな目をしているハズ。ジンベエよ、あなたはもう皆んなのお父さんだ。私の父親もジンベエみたいに大らかで優しく、時に可愛く人望溢れる人だったらなぁ。

「そういえばお前って偉いヤツなのか?」

「…どうしてそう思うんですの?」

「インペルダウンから出る時みんなお前見て頭下げてたからだ!」

この”みんな”を指すのは恐らく海軍側の人達のことだろう。まぁ流石に気づくか。海兵の人は私が天竜人だと知っているから私が通ると常に頭を下げてくる。最初は土下座だったけど可哀想だからガープさんに頼んで辞めさせてもらったんだ。

「ルフィの言う通り私はそれなりに偉いと言われる地位の人間ですわ」

「へェ〜そうなのか」

「麦わらのルフィ 私はあなたがこのシャボンディ諸島で殴った”天竜人”の一族ですわ」

決してルフィから目を逸らさずに言う。どんな反応をするのか、もしかしたら嫌われてしまうかもしれない。
でもどうしてかルフィに嘘をつきたくない。理由はわからない。もしかしたらエースの弟だからかもしれない。

私は不安による緊張で少しばかり体を震わせた。

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