42
 
「着いた…!」

シャッキー’sぼったくりBARと書かれたお店の前に着いた。最初からこのぼったくりBARに用があった私は物は試しに、とルフィに道を聞いた。そのところ、奇跡的に道を覚えていたルフィのおかげで迷うことなくたどり着くことができた。途中色々なお土産屋さんを寄り道した。思いのほかお土産を買いすぎてしまったがそれはそれで楽しかったのでよしとする。

「ここに何の用があるんだ?」

「ええっと…少し」

エースの問いに私は言葉を濁した。ぶっちゃけ少しどころではないのだ。何せ私はこれからの未来においてとてつもなく重要な交渉にやって来たからだ。
その交渉とはルフィの修行をあの海賊王の右腕、シルバーズ・レイリーに頼むこと。


本来ならあの頂上戦争が起こった後、エースの死で精神と肉体共にボロボロになったルフィの元へレイリーが来て大切な物、つまり仲間を守るための力をつけるため、修行をするハズだった。だが私がエースを助け出してしまったことで未来は大きく変わってしまった。

このままルフィを無防備に新世界へ行かせるのは得策ではない。これから新世界へと赴く為には原作通りレイリーの修行は必須事項。そうと決まれば私のすることは一つ。

カランカランとドアベルが鳴った。

「いらっしゃい …あら?モンキーちゃんじゃない」

「げっ なんでバレたんだ?」

「ウフフ 変装しててもわかるわよ 私モンキーちゃんのファンだもの」

フゥ…っとタバコの煙を吹きながらニコッと微笑んだこの美女はシャッキー。このバーの店主だ。ボンキュッボンの美女にタバコのセットはとても妖艶だ。妖しい美女の出来上がりだ。

「立ち話もなんだし座って。飲み物は何がいいかしら?」

「お邪魔しますわ 私はオレンジジュースをお願いします」

「おれはなんでもいい」

「おれも」

「わしもじゃ」

「フフ、その様子じゃ飲みに来たってわけじゃなさそうね」

シャッキーが苦笑する。そりゃバーに来ておいて飲み物はなんでもいいなんて言われればそう捉えるのも無理はない。オレンジジュースなんて子供っぽかったかなと少し心配になったが好きなものは好きなんだ。しょうがない。まず私の前にグラスに入ったオレンジジュースが置かれた。わぁ、果汁たっぷりだ!絞ってくれたのかな?

「どうぞ カワイイお嬢ちゃん」

「あ、ありがとうございまし!」

シャッキーはエースやジンベエ、ルフィにもオレンジジュースを出した。無理だ、オレンジジュースを飲むジンベエなんて可愛いに決まってる。ルフィはなんかオレンジジュース似合うしエースが飲むとオレンジジュースがお酒に見える。くぅう!この色男さんめ!

そんな私の下心満載な思惑を知ってか知らずかシャッキーが私の真ん前まで来てカウンターに肘をつきながらにっこり笑っていた。も、もしやバレた!?下心満載な私の思いがシャッキーにバレてしまったのか!?

私は得意のポーカーフェイスを繰り出す。

「初めまして わたくしはエレナと申しますわ よろしくお願いします」

「あら 礼儀正しい子なのね 私はシャクヤク。シャッキーって呼んで?」

「ではお言葉に甘えますわ わたくしのことも好きなように呼んでくださいまし」

無事にシャッキー呼びを許された私はオレンジジュースのグラスを両手で持ちながらそれを飲んだ。美味しい。まんまオレンジだ。こんなに美味しくて更にはシャッキーのような美女が作るオレンジジュースならぼったくられてもいいのかもしれないと思った。

back|next
back