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「へェ、やっぱりエレナちゃんって天竜人なのね」
「え?シャッキーはわたくしが天竜人だと最初から分かっていたんですの?」
「ええ 確信はなかったけど。エレナちゃんの着てる服って少し変わってるじゃない?」
「そう言われれば確かにそうですわね」
そうか、服か。確かに天竜人の着る服は変わっている。というかこの服を着ていれば暗に私が天竜人だと言いふらしているようなものだ。シャボンディ諸島ともあればマリージョアから近いこととヒューマンショップがあることから天竜人の出入りが多く、見慣れているから気づいたのかもしれない。
「ムシャムシャ、モグモグ んでよ、エレナお前オバハンに用だったのか?」
「オ、オバハン!?オバハンだなんてレディに対して失礼ですわよルフィ!」
「えー だって本当の事じゃねェか オバハンいくつだ?」
恐ろしいことに、シャッキーのような美しすぎる美魔女に年齢をストレートに聞きながらシャッキー特製チャーハンを食べるルフィにめまいがしそうになった。
デリカシーってもんがないのか!シャッキーにぶっ殺されるぞクソゴムさんめ!
「ウフフ、前にも聞かれた気がするけど ナイショ」
ほっ…。大人の余裕でシャッキーが笑って流してくれたから助かった。
「エレナ、そろそろここに来た理由を話してくれんか?」
「長居するとこでもねェしな」
「そうですわね。シャッキー、レイリーはいらっしゃるかしら?」
「レイさんならそろそろ帰ってくるわ 彼に用?」
「ええ 少しお話したいことがありますの」
「ふぅん。あの人ったらこんな幼い子にまで手を出すなんて フフッ、女好きの範疇を超えてるわね」
手を出す!?いや、私は手なんて出されてないぞシャッキーよ!なんなら会ったことすらない!っていうかそれを女好きの一言でまとめられるレイリーって!?
「ウワサをすれば、ね 来たわよエレナちゃん」
ドアベルが鳴った。シャッキーに言われて振り返る。いた。海賊王の右腕と呼ばれた男、シルバーズ・レイリーが何食わぬ顔でこちらを見ている。
「おや?お客さんかな」
「この子がレイさんに用があるらしいわ 詳しいことは知らないけどモンキーちゃんも来てるの」
「おお、キミか 確かあの時彼に飛ばされた筈じゃないのかね?」
「うん 飛ばされた。あの後色々あってハンコックに世話になってたんだ」
「ほう ハンコックか…懐かしい。女ヶ島に飛ばされたとはキミも運のいい男だな」
「あいつ いいやつでよ〜 今度会ったらちゃんとありがとうって言わなきゃな」
「そうか 彼女も喜ぶだろう。ーーしてお嬢さん、私に何の用かな?」
レイリーがルフィから視線をずらして私を見つめた。はぅっ!!何だこの全てを見透かすような瞳は…!まるで私の頭の中を丸裸にされたような感覚だ。さすがはロジャーが相棒と呼ぶ男。強者の風格が滲み出ている。ついでに色気もダダ漏れだ。
私は頭の中で繰り広げられるそんな思いを振り払ってレイリーの瞳をじっと見つめた。