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「そ、そこまで言うなら言わないわけにはいきませんわね」
少し間を置いてレイリーの顔を射抜くように見つめる。海賊王の右腕だからって私は怯まないぞ!転生したにせよ私はこの世界で生まれた人間。何者かなんて、決まっている。
「わたくしは天竜人なんですの」
「ほう…天竜人か。なるほど、確かに普通のお嬢さんではないな」
レイリーの反応にホッと息をつこうとしたが彼は不敵な笑みを緩めなかった。
「キミは世間一般で言う天竜人とは少し違うようだ」
「どうして、そう思うんですの?」
「なに、老いぼれの勘だ。それに風の噂では彼らをインペルダウンから救出したそうじゃないか」
な、何故それを!!?待て待てこれウルトラシークレットな案件なんだけど!レイリー何者!?何者なの本当に!
「なんであんたがそんな事知ってんだよ」
「そう突っかかることはない 長年生きていれば色々なところから自ずと情報は入ってくるものだよ」
「ふふ、うちの人こう見えて情報通なのよ」
「へ、へェ…そうなんですのね」
いや長年生きてるだけで情報が自ずと入ってたまるか!突っ込もうとした言葉を慌てて飲み込み、私はコホンと咳払いをすると改めてレイリーに向き直った。
「レイリー、お話がありますわ。場所を移しましょう」
「私は構わないが…彼はいいのか?」
レイリーが横目でエースに視線をやる。それに気づいたエースがまたレイリーを睨もうとしたのに慌てて二人の間に割り込んで私はエースを見上げた。
「エース、わたくしとってもとっても大事なお話を彼としないといけないんですの」
「ここじゃダメなのか?」
うっ…!捨てられた子犬のような顔に心が痛むがここで頷くわけにはいかない。私は頷きたい気持ちを抑えて心を鬼にする。
「ええ…ですけど、きっと今日の出来事が近い未来、必ず身を結ぶ日が来ます。わたくしを信じてくださいまし」
私の想いよ、エースに届け!という念が届いたのかエースは表情を柔らかくした。
「わかった 行ってこい 引き止めて悪かったな」
頭をポンポンと撫でられる。
私はエースのもう片方の手を握った。
「あなた達の未来は絶対に私が繋いで来ますわ それがわたくしの生まれて来た理由ですから」
ルフィとエース、そしてジンベエの未来。本来あるべき未来を大きく変えてしまったのだから最後まで責任は取る。
「エレナ…」
「では行って来ますわ」
驚いた様子のエースを見て満足した私はレイリーと目を合わせて大事な話をしに外へ向かった。冷蔵庫から勝手に新しいオレンジジュースを出そうとしているルフィを引き連れて。