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「そうですわルフィ、あなたの電伝虫の番号を教えて下さいまし」
「おれ電伝虫なんて持ってねェぞ」
「え!?そ、そうですのね…。うー…ん、しょうがないですわね」
ルフィにあげるべきか否か迷いながらポケットにある神々しい色の電伝虫に目をやる。くっ、電伝虫のクセに無駄にキラキラ輝きやがって!!
別にあげる分には全然いいのだがもしルフィが外でこれを使って周りに、主に海軍に見られた時が問題だ。何故なら海軍なら一目で天竜人の所持する電伝虫だと分かるからだ。海軍でなくともわかる人間には分かる。
……ん?いやまてよ。そもそも海軍に見つかった時点で追われる身のルフィには同じことか。私ってば頭いい!
「これを差し上げますわ。わたくしの番号はあらかじめこの子にインプットさせていますからいつでもこの私と話すことができる優れものなんですのよ」
「へー 不思議電伝虫か!」
「ん〜強いて言えば高級電伝虫ですわね。後日この電伝虫に電話をかけますからその時は現在地を教えて欲しいんですの」
「おう!わかった」
「理由は聞かないんですのね。私がその現在地を海軍に教えてるかもしれないって思わないんですの?私はあの天竜人なんですから…」
「ああ!思わない。だってお前言ったじゃねェか」
「?」
「友達だって!おれは友達は疑わねェ!」
くっ!なんだ、なんなんだこの真っ直ぐな瞳は…!!わかってはいたもののいざ真っ向からこの純粋オブ純粋な眼差しで見られると私の中の下心やら悪巧みやらのゲスい心がスケスケにされてる気分だ!
「ふふ!そうですわね!今日はもうそろそろマリージョアに帰らなければいけないので例の約束のモノは今度使いのものに届けさせますわ」
「例の約束のモノ?なんだかわかんねェけどわかった!」
いやわかっとらんのかい!と内心突っ込みながら今まで食べて来た中で一番美味なお肉を思い出す。
そういえば大型の海王類から100gしか取れない部位のお肉は美味しかったなぁ……。うん。贈り物ならこんな珍しいものはないしこれに決定だ!
「じゃあ私達はこれで失礼しますわ。またお会いできる日を楽しみにしてますわね!」
ルフィとレイリー、それに麗しいシャッキーお姉さんに手を振る。
「またな〜!エースも元気でな!」
「次に会う時を楽しみにしているよ」
「ふふっまたね、エレナちゃん」
みんななんて素敵な人達だ!感激しながらも小さくなって行く人影が次第に見えなくなり、私達は船に向かって歩く。ある決心をしていた私は唐突に襲ってくる悲しみを決して表に出さないよう、なるべくエースとジンベエから顔が見えないように彼らとは違う方向を向いた。
船に着く前にやらなければいけない。決心が鈍ってしまわないよう、私は力の限り拳を握りしめた。