55
 
「っと、ゆっくり感動の再会をってワケにもいかねェよな」

「へ?」

「よし!しっかり掴まってろよ」

ギュッと私を抱える手に力を込めてエースが港の方へ駆け出す。揺れる身体に反射的にエースに抱きつくような形になった。うひょお!!この逞しい筋肉よ!私にはまだ刺激が強いんだ!

「エレナ宮が誘拐されたぞ!あの男を捕らえろ!!」

「お前たち!は、はやくあの男を捕まえるんだえ!わちきのエレナが傷ついてしまうえ!!」

ブタ親父のその言葉と共に私とエースに向かって走りだした黒服のSP達。そのうちの1人が銃を構えてエースに狙いを定めた時だ。

パァン!!

「!?」

「アマデウス聖!?一体なにを…」

なぜか味方のSPを撃ったブタ親父に周りのSPは困惑気味だ。いや、私も困惑気味だ。エースも、なんだ?と言いたげな表情であちらを見ている。
……ハッ!!まさかエースとの駆け落ちを許してくれるの!?ねえそうなの!?

「バカモン!!もし弾がエレナに当たったらどうするんだえ!ゴミクズのお前たちの命がいくつあっても足りないえ!」

そこぉ!?父上そこ!?どんだけ私のこと好きなの本当。まぁ?私ほどキュートな娘がいたらそりゃ可愛がるよね!わかるよその気持ち。

「掴まれエレナ!一気に飛ばすぞ」

「と、飛ばす!?ってきゃー!!」

ビュオオン!!と風を切る音がダイレクトに耳に伝わる。ひぃい!怖い!速いぃ!
エースの足が火になってる!!
ジェットコースターのような速さにエースを絞め殺してしまうほど強い力で腕を回す。…これはこれで役得かもしれない!
しかし鍛え抜かれたエースは至って普通の表情で、私の全力の抱擁でエースを絞め殺すなんてできっこなさそうだ。

「見えてきたぞ!あそこだ」

「見えてきたって…」

「こっちだよい!」

「!!?」

マ、マルコォオオ!?え、あの青い炎が美しく!パイナポーなマルコが!なんか手招きしてるんだけど!?
なんで、どういうこと!?
ーーその後ろには巨大なアイランドクジラのような丸みをおびた影!しかし鯨にしては鳴かない…。こ、これはまさか!!

「着いた!エレナ、紹介する。この船がおれ達白ひげ海賊団の船 モビーディック号だ」

ドーーン!!と効果音がつきそうなほど大きく、四皇の一人、白ひげが乗るには少し可愛らしい船首の船に私は圧倒された。
こ、これが世界最強の男が乗る船…!!

「そんでこのパイナップルみてェなのがマルコだ」

「パイナップルは余計だよい マルコだ。よろしくな」

「…はっ!!はい!よろしくお願いしますわ!」

「とりあえず時間もねェ、船に乗れエース」

「おう!」

私はエースに抱えられたまま訳もわからず、コーティングされた大きな大きなアイランドクジラの船に乗り込んだ。

back|next
back