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「っと、ゆっくり感動の再会をってワケにもいかねェよな」
「へ?」
「よし!しっかり掴まってろよ」
ギュッと私を抱える手に力を込めてエースが港の方へ駆け出す。揺れる身体に反射的にエースに抱きつくような形になった。うひょお!!この逞しい筋肉よ!私にはまだ刺激が強いんだ!
「エレナ宮が誘拐されたぞ!あの男を捕らえろ!!」
「お前たち!は、はやくあの男を捕まえるんだえ!わちきのエレナが傷ついてしまうえ!!」
ブタ親父のその言葉と共に私とエースに向かって走りだした黒服のSP達。そのうちの1人が銃を構えてエースに狙いを定めた時だ。
パァン!!
「!?」
「アマデウス聖!?一体なにを…」
なぜか味方のSPを撃ったブタ親父に周りのSPは困惑気味だ。いや、私も困惑気味だ。エースも、なんだ?と言いたげな表情であちらを見ている。
……ハッ!!まさかエースとの駆け落ちを許してくれるの!?ねえそうなの!?
「バカモン!!もし弾がエレナに当たったらどうするんだえ!ゴミクズのお前たちの命がいくつあっても足りないえ!」
そこぉ!?父上そこ!?どんだけ私のこと好きなの本当。まぁ?私ほどキュートな娘がいたらそりゃ可愛がるよね!わかるよその気持ち。
「掴まれエレナ!一気に飛ばすぞ」
「と、飛ばす!?ってきゃー!!」
ビュオオン!!と風を切る音がダイレクトに耳に伝わる。ひぃい!怖い!速いぃ!
エースの足が火になってる!!
ジェットコースターのような速さにエースを絞め殺してしまうほど強い力で腕を回す。…これはこれで役得かもしれない!
しかし鍛え抜かれたエースは至って普通の表情で、私の全力の抱擁でエースを絞め殺すなんてできっこなさそうだ。
「見えてきたぞ!あそこだ」
「見えてきたって…」
「こっちだよい!」
「!!?」
マ、マルコォオオ!?え、あの青い炎が美しく!パイナポーなマルコが!なんか手招きしてるんだけど!?
なんで、どういうこと!?
ーーその後ろには巨大なアイランドクジラのような丸みをおびた影!しかし鯨にしては鳴かない…。こ、これはまさか!!
「着いた!エレナ、紹介する。この船がおれ達白ひげ海賊団の船 モビーディック号だ」
ドーーン!!と効果音がつきそうなほど大きく、四皇の一人、白ひげが乗るには少し可愛らしい船首の船に私は圧倒された。
こ、これが世界最強の男が乗る船…!!
「そんでこのパイナップルみてェなのがマルコだ」
「パイナップルは余計だよい マルコだ。よろしくな」
「…はっ!!はい!よろしくお願いしますわ!」
「とりあえず時間もねェ、船に乗れエース」
「おう!」
私はエースに抱えられたまま訳もわからず、コーティングされた大きな大きなアイランドクジラの船に乗り込んだ。