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「エース?あの、これは一体どういうことなんですの?」
「どういうことって、迎えに行くって言っただろ?だから迎えに来た。男に二言はねェ」
わしわし!っと私の頭を撫でながら太陽のように眩しい笑顔を浮かべるエースに心の中でそういう意味じゃない!と突っ込んでしまった。
いや迎えにきたのは分かった。分かったんだけど。なぜ天竜人の私が海賊船、それもかの四皇白ひげの船に乗っているのかを知りたいんだよ!いくら知っているキャラ達でも実際にこの世界で会って知ってるのは今ここでエースしかいないんだよ!心細いんだよ!
それも天竜人が海賊船になんて、なんとも肩身のせまい…。
「その様子ではまだ詳しい話は聞いていないのかね?」
ん?後ろから何か知ったような声が…
「レ、レイリー!?なんでレイリーがここに…!?」
「そう驚くことはない 何事も成り行きに身をまかせるのも悪くはないさ」
「成り行きって…本当にどういうことなんですの?」
「あー、だからよ おれ一人じゃお前連れて逃げ回るにはまだ力が足りねェって事でオヤジ達が協力してくれたんだよ。それにオヤジもお前に恩があるっつーから」
「…恩?わたくし白ひげさんと会ったことないですわよ?」
「エースを助けてくれた礼だそうだ いくら白ひげとは言えインペルダウンの中にいる仲間までは助けられんからな」
「そんな、わたくしなんてただ"天竜人"という権力を乱用して助けただけにすぎないのに」
それも私が心底好きではない、自分たち以外の人間を蔑む人種の持つ権力なんて。
「引け目を感じる事はない それはキミの立派な特権であり力でもある。どんなばかげた考えでも行動を起こさないと世界は変わらない。キミは彼と彼の周りを取り巻く全ての人の人生を大きく変えたのだよ」
微かに笑みをたたえながらレイリーが優しい瞳で私を見下ろす。そうか、私の特権…。そうだった。私エースを助けようと思った時にこの地位をフル活用してやる!って言ってたんだ。2年経つうちに忘れちゃってた。
そうだよ。私のこの地位には絶大な力がある。それがいつまで持つかわからないけど、時間が許す限り出し惜しみなく使っていこう。
「ふふふっ レイリーは今私に必要な言葉をくれる人生の師匠みたいですわ」
「それは光栄だな。キミのような可憐な女性が弟子ならこの老いぼれの人生も少しは華やぐ」
「おい おっさん エレナを変な目で見るなよ。犯罪だぞ、それ」
「ふむ、確かにキミの言う通りかもしれん。だがそれは私に言えた義理ではない気がするのだがな」
「ぐっ…!!」
レイリーのその一言にエースが押し黙る。え、どうしたんだろう。ていうかなんか二人とも2年前よりなんか仲良い気が…。