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「グララララ!!おめェがエースとジンベエを助けたって噂の天竜人か」
「ええ。お初にお目にかかります、わたくしエレナと申しますわ」
「あァ…おれの息子が世話になったな 礼を言う」
真っ直ぐ私を見据えてそう言った白ひげはなんだか上手く言えないけど、とても優しくて温かい目をしていたように思う。本当にエースが生きている事が嬉しいんだと、その表情から伝わってくる。
何歳も離れているこんなちんちくりんの私に礼を言うほどに。流石は世界最強の男、エドワード・ニューゲートだ。言葉の一つ一つに重みがある。
「そんな大それた事はしてませんわ。助けたと言ってもそんなの世間からしてみればただの天竜人のお遊びみたいなものですもの。だからそんなお礼だなんてーー」
「理由なんざなんだっていい ただおれの愛する息子が無事ならそれ以上に大事な事はねェ」
「オヤジ…」
「…!!(なんか深い!リアル深いイイ話みたいだよこれ!)」
まぁそれはさておき。なんかこう、グッとくるものがあるよね。血の繋がりはないけれど本当に家族として大事な息子の身を案じるのって。
私のあのアンポンタンな父親は今頃死に物狂いで私の捜索願いでも出してる頃かな。
母上が知ったらまた白目向いて倒れるかもしれないのが心配だけど…。
あ、大将に追われるならまたクザンがいいなぁ。
「そういう事でおれはおめェに恩を返さないといけねェワケだ。なんでもして欲しい事を言ってみろ」
「へ?」
「フフフ…これは見ものだな」
いや見ものだなじゃないですよ師匠。ちょっと待っていきなり"あの"白ひげになんでもして欲しい事を言ってみろなんて言われて、う〜んじゃあ…なんてすぐ言えるかよ!
こう、原作のキャラが次々と現れてくる事すら密かに感激してるのに、「お前の願い、叶えてやるよ」みたいな感じで言われてもですね!?しかも相手があの"白ひげ"!大事な事だから二回言ったよ!
「だがよいオヤジ。こいつ…あー、エレナは天竜人だろ?して欲しい事なんて自分でいくらでも叶えられるんじゃねェのか?」
「グララララ!そりゃ財力や権力にしてみりゃコイツらに勝るものはねェがな 海賊にしか頼めねェ願いってのも多いモンだぜ」
「海賊にしか頼めない願い、か。フフ、確かに一理ある」
「ああ、なるほどな。理解したよい」
「おれ達にしか頼めない願い…?」
我らが師匠、お色気レイリーとパイナップルヘアーな不死鳥、マルコは白ひげの言わんとする事に気付いたらしかったがエースは予想通り首を捻っていた。エースよ、やっぱりキミは私の味方だな。同じくわからない人がいて助かった。
しかし海賊にしか頼めない願いって…まさか犯罪!?ーーいや、でも犯罪でも天竜人がやる事は全て許されるから仮に罪を犯しても犯罪ではなくなってしまうし…。
なんだろう?と顎に手を添えて考えていると隣にいたエースがパッと顔を上げて「わかった!」と声をあげた。