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「み、皆さま落ち着いて下さいませ!お夕食までには戻ると伝えて来ましたから」
「だとしてもだ!しらほし姫にもしものことがあれば大変だ」
「その通りだ 護衛もつけず付き添いはペットのサメだけなんてなんとも心許ない!」
「麦わらのルフィのおかげでこの国がまた平和になったとしても何かあってからでは遅いのですよ姫様!」
私、エレナはエースの背中におぶられながら目の前の光景にこれまでにない程口を大きく開けて停止した。
いや待って?あれ…私の目の錯覚じゃなければあれは、しらほしだよね?
薄ピンクの髪に赤とピンクが混じった尾ビレ。そして極め付けはその大きな身体。
……いやー!まさか!魚人島のお姫様がこんなところに護衛もつけずに来るわけがーー
「しらほし姫!今からでも遅くはありません 竜宮城にお戻り下さい!」
し、しらほしだったァアア!!!
やばい、やばいよ!本物のしらほし姫だよ!ていうか待ってすっっごく可愛いんだけど。なにあの可愛さ。こりゃサンジが石になったのも納得だよ。私女だけど嫁に欲しいもん。笑ってくれるだけで毎日でも貢ぎたくなるもん。
「エース、あの大きな可愛らしい人魚さんの所まで行って下さいまし」
「ん?あー あのでけェ人魚だな しかしたまげたな。オヤジよりでけェぞ?」
「確かに白ひげさんより大きいですわね…というかエース、あなたしらほし姫と面識ないんですの?」
「ねェよ で、あれがそのしらほし姫か?」
「ええ!私の憧れの人魚姫なんですのよ」
「へェ お前にも憧れてるヤツなんていたんだな」
エースの問いにコクンと頷いて、しらほしとの距離が縮まったところで私はエースの背中から降りた。
「近くで見るとさらにでけェな エレナ お前チビだから間違って潰されないように気をつけろよ」
「もう!チビじゃないですわよ!」
わざと意地悪を言ってくるエースにそう言い返し、私はコホンと息を整えてからしらほしの背中を見つめた。
しらほしは私達の存在にまだ気づいていない。
人は第一印象が一番大事だと言う。
私はしらほしに変なやつと思われないようにと身なりを整えた。
よし、行けエレナ!
「もしもし そこにいらっしゃるのはしらほし姫かしら?」
少し上ずった声。だがこのくらいならまだ許容範囲だ。
私は大きな背中に向かってそう問いかけた。その言葉に周りの魚人達が何だ何だと不思議そうな顔をしたり、中にはしらほしを守るように立ちはだかる者もいた。だが今はそんなことどうでもいい。
私の声にゆっくりと振り向いた魚人島の王女 しらほし姫はうるうると輝く水色の瞳の中に私を映した。
「はい わたくしがしらほしです」
ニコッと花が咲いたような笑顔を私に向けるしらほしに思わず目をカッ開いた。
あまりの可愛さに一瞬フラッとフラつきかけた身体をエースがすかさず支えてくれる。
いつもならそれにキャアキャアとときめく私だったが、たった今それにも気づかないほどの衝撃を受けていた。
ニコニコと笑みを浮かべるメガトン級に可愛いしらほしを見つめながら私が我にかえるまであと3秒。