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「ではエレナ様は地上にあるお森を見たことがあるのですか?」
「ううん それが恥ずかしいことにないんですのよねえ」
「わたくしもまだなのですけれど お約束したんです」
「約束?」
「はい!いつの日か地上のお森に連れて行って下さると ルフィ様がそうおっしゃってくださいました」
そういえばそうだったー!!そんな会話も確かにしてたような気がする。うん。思い出した。
あれ、ていうかルフィってやっぱり魚人島救った感じなの?白ひげさん生きてるのに原作通り魚人島は荒れたの?え?なんで?
「ルフィと森か…なつかしいな まァ安心しな。食うには困らねェよ」
「ルフィ様をご存知なのですか?」
目をキラキラさせながら身を乗り出してエースを見つめるしらほし。そりゃご存知もなにも弟だもんな。
しかしこんな美女と森デートの約束を確約したルフィの王女キラーたるや。天然ってこわい。
「ルフィはおれの弟なんだ」
「ほ、本当ですか!?」
「おう 本当だ」
「ではエース様はルフィ様のお兄様なのですね!」
「ああ 手のかかる弟だよ」
「ふふふっ!そうなのですね!わたくし こうしてまたルフィ様のお話ができてとても嬉しいです」
「うれしいねェ 弟をそこまで慕ってくれて」
ニコニコとそれは嬉しそうに話すしらほしと、ルフィの話になった途端これまた嬉しそうに話すエース。
おいぃ!嫉妬しちゃうぞ!
シクシク…しらほしみたいな美女と話せて嬉しいんだエースってば!私なんて目に入らないんだろ!いーよもう!
「おい 聞いてんのかエレナ」
「ハッ…!も、もちろん聞いてますわよ」
エースに顔を覗き込まれて慌てて返事をする。私は心の広い女になるの。この程度で嫉妬なんてしてたらこの先が思いやられる。
「よし なら行くか 竜宮城!」
「わかりましたわよ 竜宮城でもどこへでも……ってええ!!?」
りゅ、竜宮城!?いやいやどゆことやねん。話が飛びすぎだわ。てか竜宮城ってそんなホイホイ行けるとこじゃないからね。何そのトイレ行くか!みたいな軽いノリは。
「その反応じゃやっぱり聞いてなかったんだろ」
「もうこの際聞いてなかったのは認めますけれど どういう経緯で竜宮城へ行こうと言ってるんですの?」
一体何がどうなって竜宮城に、と思っているとしらほしの大きな手が私の横に置かれた。
不思議に思ってしらほしを見上げると天使の様に可愛い声で、乗ってくださいませと言われた。キュンと高鳴る鼓動。私は言われるがままにしらほしの手にちょこんと座る。
すると私が手に座ったのを確認して、しらほしがゆっくりとその手を自分の顔の近くまで持って行く。あわわわ!!目の前に超絶美少女が!!眩しい!
「わたくしがお招きしました!エレナ様ともっとお話をしたくて」
「本当!?」
「はい!も、もしかしてご迷惑でしたか?」
「め、迷惑なんかじゃないですわ!わたくしも…もっとしらほしと話したいと思っていましたの」
世の男達が一度は目にしたかったと泣きながら死んで行く程に美しい魚人島の姫君にこんなお誘いをされて断れるヤツが果たしているのだろうか。
っていやいやいや!冷静に分析してる場合か!ああ 私今ビッグウェーブに乗ってんだなきっと。いい波乗ってんね〜って感じだよ本当。白ひげ海賊団との航海ツアーに竜宮城の見学まで…。私は自分が怖いよ。うん。
あ、そういえばまだしらほしに天竜人だってこと言ってなかったわ。
後から実は天竜人でしたなんて言うのは何だかしらほしを騙したような気がするから今のうちに言っておいた方がいいと思う。
「しらほし!あの、実はわたくし…世界貴族のてンムッ!?」
私が天竜人だと打ち明けようとした時、エースが私の口を手で塞いだ。これは一体どういう状況だと、エースを見上げる。
「どうしたのですか?」
不思議そうに首を傾げるしらほし。
「いや、なんでもねェよ じゃあ早速連れてってくれ!その竜宮城ってとこによ」
「はい!こちらです」
あれよあれよとエースに手を引かれるがまま竜宮城への道を行く。一体どうしてエースは私の口を塞いだのだろうか。
そんな疑問を胸に抱いていた私だったが、竜宮城までに見る景色の美しさに気を取られてすっかりそんな疑問は頭の片隅へと追いやられてしまったのだった。