06
ゴゴゴ…!!という効果音が聞こえてきそうな雰囲気に反射的に片足が一歩下がって後ろにいたクザンにぶつかってしまった。
「顔が青いけど大丈夫?」
「だ、大丈夫です!へっちゃらですわこのくらい」
「それならいいんだけど」
「心配してくれてありがとうございまし」
「…そりゃどういたしまして」
私の護衛のため前に黄猿さん、後ろにクザンという前門の虎、後門の狼みたいな構図になっている。大将2人に守られるとかもうどんな怪物が来ても安心できそう。
「あ、あれがこの世で最も気高い血族と言われる天竜人か!」
「しっ!口を慎め、少しでも天竜人の機嫌を損ねれば命がいくつあっても足りないぞ」
「だがしかしまだ子供だってのに綺麗な顔した天竜人だ」
「ありゃいい女になるぞ 天竜人じゃなけりゃなァ…」
海兵の人たちが土下座の体制のままこそこそと話し合う声が聞こえる。別に私の機嫌を損ねたところで私は父上達に言いつけたり、ましてや殺そうとなんてしないのに。天竜人というだけでそう思われるのが悲しい。しょうがない事なのだろうけど、これから一生天竜人というだけでそう思われて生きていかなきゃならないとなるとやはり悲しいものがある。
それはそうとなんだ、綺麗な顔って。そう言われれば嬉しいけど私たいして美人じゃないぞ。普通だ。至って普通の少女だよ。私だってできることなら天竜人になんてなりたくなかったわ!でもこの地位のおかげでエースを助けれるのだから私は初めて自分が天竜人でよかったと思えるようになった。
「ようこそ!!我がインペルダウンへ!あァ間違えました”我が”ってちょっと野心出ちゃった 私はまだ副署長のハンニャバルです!!よろしくお願いスマッシュ」
このセリフは!!ハンコックとルフィがエースを助けに来た時のセリフそのまんまだ!!一字一句違わずのそのまんまなんだけど、これはもしや本来ハンコックとルフィが来るはずだったインペルダウンに私が来たことで未来が変わっているのだろうか。とりあえずハンニャバルさんから差し出された手を握る。
「こちらこそよろしくお願いしますわ」
「オォ〜これはどういう事かねェ青雉」
「そんな事言われてもな おれも頭が着いていかねェよ、まさかここまでとは」
ハンニャバルと握手をするエレナを見た黄猿が驚きながら青雉に問う。あの天竜人が同じ世界貴族でも、ましてや貴族でもないインペルダウンの副署長と握手を交わしているからだ。
普通ならば無礼者だと首をはねられても文句の言えないような状況なのにも関わらず至って普通の顔でハンニャバルの握手に応じるエレナに黄猿と青雉は少し違和感を感じた。